代表取締役 湯川 剛

OSGには4曲の社歌があると言いました。それぞれの曲は目的によって使われているのですが「みんな主役のおでん音頭」だけは、なかなか発揮する場面がありません。
「歌詞は見た事があるけれど、聴いた事はない」という社員さんもいるかも知れません。
しかし「おでん」という言葉がOSGにおいて少々特別な意味を持つ言葉である事は、全ての社員さんが知っています。では何故「おでん」という言葉が、誕生したのか。そのエピソードをお話したいと思います。

一言で言えば、歌のタイトルにもありますように「みんな主役」という意味です。
きっかけは、この曲が出来る1年前の1984年1月4日の出来事です。
お正月、社員さんが私の家に遊びに来ます。そんなに広くない居間に入り切れない程、来る時もあります。いつも鍋料理を振舞うのですが、その時は「おでん」でした。食べ盛りの社員さん達が鍋を囲んで、一斉におでんの具に箸を伸ばしました。その時、リーダー的な社員さんが「危ない!それぞれ好きな具を言えば、取ってあげるから一品ずつ言いなさい」と言いました。
つまり一番好きなおでんの具を言いなさいという事です。すると「私は卵」「私は大根」「僕はごぼう天」「僕は厚揚げ」とそれぞれが好きな具を告げました。私はその場面を、今でもはっきりと覚えています。そしてふと考えさせられました。他の鍋料理には必ず、主役と脇役があるものです。しゃぶしゃぶなら肉が主役で、豆腐や白菜などは脇役です。ふぐちりも当然ふぐが主役で、春雨やしいたけは脇役です。

それに対して「おでん」は全ての具が主役なのです。しかも生まれた生い立ちや環境は違っても、その個性で主役の座を得ているのです。
じゃがいもは、じゃがいもであって決して大根になれないし、なる必要も無いのです。大根も決してごぼうにはなれないし、なる必要もありません。でも多くの人がじゃがいもが好き、大根が好き、ごぼう天のごぼうが好き、とみんなが個性を発揮して主役になっているのです。

同じようにOSG社員さんにも生まれた生い立ちや環境が違って、OSGという鍋に集まっています。例えばご両親のいる家庭もあれば、片親で育った社員さんもいます。ご両親の収入の違いもあるでしょう。自営業や公務員・学校の先生・タクシードライバー・中小企業や大企業に勤めているお父さんの下で育った人もいるでしょう。
商売人の家で育った人は話上手かもしれません。寡黙な職人気質のお父さんの家庭では、口数の少ない子供として育ったかもしれません。でもそれでいいのです。

だから中村君は鈴木君ではないし、鈴木君になる必要もない。中村君のままでいいのです。
鈴木君は田中君になる事もないのです。皆がそれぞれ自分の生まれた生い立ちや環境の中で、その人なりに個性を発揮すれば良いのです。

翌日の仕事始めである1月5日。私は社員さんの個性を活かさず教育をしてきた事にお詫びして、「これからはおでんのような職場を目指します」と発表しました。それから以降、OSGの社内新聞が「おでん新聞」となり、社内コンパでは「おでん鍋」を料理の主役にしています。

今年も新しく活きのいい「おでんの具」が入ってきました。大変楽しみです。

【みんな主役のおでん音頭】
@やる気満々、飲んでるあんた
夢を語るなら、おでんが似合う
ジャガイモだって、タコだって
姿かたちは違っても
内に秘めたるオトコの錦
負けるもんかの心意気
競い合って、競い合って
俺はなるんだ、おでんの主役

Aどうせ一度の人生ならば
7つ転んで8つで起きろ
ダイコンだって、竹輪だって
生まれや育ちは違っても
意地と根性の炎燃やし
度胸ひとつで押していく
競い合って、競い合って
俺はなるんだ、おでんの主役

B日本人なら、おでんが分かる
親にもらった、この身体
ごぼ天だって、タマゴだって
知らぬ同志が、片寄せて
みんな故郷、おふくろ思い
明日に向かって生きて行く
競い合って、競い合って
俺はなるんだ、おでんの主役

競い合って、競い合って

我等OSG おでんの職場

(次回に続く)

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