代表取締役 湯川 剛

1993年の新しい年を迎え、さぁ!やるぞ!!という気持ちに満ち溢れていました。
「新しい年・新しい心で・新しい決意」と意気込んでいました。
松の内も過ぎようかという11日、年末に「自宅を買ってほしい」と言った隣人に電話をしました。価格はご時世もあり、買い手市場の価格は仕方がない、むしろ手持ち資金に余裕を持たせる事が第一条件だと考えました。18歳で父親の借金を返済する条件で得た土地でしたが、二度と取り戻す事は出来なくても、きっと会社経営に活かせると考えての事でした。返事は、14日に頂く事になり、相手の言った価格にかなり譲歩したので、ほぼ成立するものと思っていました。当日の日記を読み返すと
「1月15日の自分の誕生日にビッグプレゼントになるか、八尾物件成立に向けて今日から4日間は長いなぁ」と記されてあります。
そして迎えた14日。首を長くして待った4日後の回答は実に呆気ないもので、
「やはり、やめときますわ」の声に愕然として受話器を置きました。

「新しい年・新しい心で・新しい決意、さぁ!やるぞ!!」
早くも15日間で打ち砕かれた具合です。しかしこんな事で負けていられません。いやいや、正月でよかった。何が正月でよかったのか分かりませんが、自分にそう言い聞かせました。亡くなった両親が「そんな価格で手放さなくても良い」と言っているのだと、思う事にしました。

1月23日、新年社員大会を大阪国際交流センター(天王寺区)で行ないました。
アントニオ猪木さんも駆けつけて、「今年も頑張ろう!」と全社員で気勢を上げました。
私も私だけが知るこの1週間の出来事を吹っ切るべく声を張り上げ、今年を乗り切る為の勝ち鬨を上げました。そして全社員さんに「勝利の要諦は全力投球。総力戦しかない。手抜きした方が負ける。食うか食われるか、生き残りを賭けた戦いでは、形振り構わず頑張った方が必ず勝つ。必ず。」と、かなり刺激的な事を言っていました。

1993年もまだ始まったばかりの1月半ば。期待していた事が期待通りに行かなかった事で、例え一瞬でもがっかりしていた自分を情けなく思いました。私は気持ちを切り替え、土地購入をお願いしたご近所の方々に、お礼の手紙を書きました。

私にはもう一つの顔があります。社長業とは別に、営業本部長としての使命がある訳です。
では、営業本部長の使命とは何か。「まずは売上を構築する事が全てを解決する」と、シンプルに考えました。
勿論、回収に関してはI農機の本社に訪問し、常務取締役に直談判しました。「回収が遅れるならば引き上げる」とまで言い切った事が、結果的には良い方向に向かいました。
1月の新年社員大会をきっかけに全社員さんががむしゃらに営業に向けて走りました。
この時の社員さん達が現在の幹部・管理者として現在も頑張ってくれています。

そんな中、嬉しいニュースが飛び込んで来ました。

(次回に続く)

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