代表取締役 湯川 剛

学生向けの企業セミナーや岩谷産業の2000年キャンペーン向けのOne to One マーケティングセミナー、それに従来の都市ガス向けのCLSセミナーと休日もなく日々セミナーをこなしながら、社長業兼営業本部長の仕事をしていました。
そんな社内業務とは別に、業界の為の会合にも足を運ばなければなりません。

浄水器協議会(現、社団法人浄水器協会)の運営委員会が3月にあり、「本年度の代表幹事をどこの会社にお願いするのかを検討し、OSGコ−ポレ−ションに代表幹事をお願いしたい」との報告が出席した弊社幹部よりありました。
4月21日、メルパルク東京にて午後より浄水器協議会総会がありました。その午前中に運営委員会に出席を要請され、「3月の運営委員会で決まり、本日午後の総会で代表幹事:OSGコーポレーションで発表したい。よって本日はその確認です。」

私は運営委員会のメンバーでもある弊社幹部からその説明を聞いていましたが、回答曖昧のままにしていました。「ノー」ではないので、運営委員会の皆さんも「代表幹事:OSGコーポレーション」でいけるものだと思っていました。
この浄水器協議会の発足から私は私なりに最大限の協力をしてきましたし、設立から約30年の間に殆どの人が退任などされ、発足当時のメンバーは私を含めて数名しか残っていません。そのようなキャリアなども考えて、OSGに白羽の矢が立ったのだと思います。
ですから運営委員会のメンバーである弊社幹部も含めて、既成の事実として「代表幹事:OSG」となっていたのでしょう。ところが私は「辞退したいと思います。」と発言したので、運営委員会の皆さんは大変驚かれました。メンバーである弊社幹部にも「承諾したのではないのか」と詰め寄る場面もありました。

そこで私は「責任は私にあります。昨日までは代表幹事を受けるつもりで今日の運営委員会に出席する予定でした。」の発言にそれならどうして辞退するのだという雰囲気で、浄水器協議会の専務理事や運営委員会の10名程の皆さんが私の顔を見ました。

私は次のような説明をしました。
「浄水器協議会の発足当時からのメンバーで誰よりも業界の発展には協力をしてきた自負があります。皆さん方から推挙された事には感謝をしています。代表幹事になれば協議会を更なる発展し、浄水器協議会から社団法人浄水器協会に昇格させ、歴史のある誰もが認められる組織にする努力も惜しみません。しかし私は昨夜、一晩考えました。考え抜いた末の結論です。
皆さん。私は成り上がりです。世間から見れば、私は成り上がりの部類に入ります。そんな私を浄水器協議会のトップの顔にしてはいけません。今、協議会から社団法人協会に昇格する大事な時期です。厚生労働省や関係行政との折衝する大事な時期です。そんな時、私をトップの顔にしてはダメです。やはりトップは松下電器さんや東レさんや三菱レイヨンさん・日立さんなど、上場会社の企業がやるべきです。自分の立ち位置はよく理解しています。」

専務理事をはじめ、当時の代表幹事や運営委員会のメンバーの方々は、静かになりました。
数十秒の沈黙の時が流れ、誰かが「分かりました。少し休憩に入ります。その間、運営委員会で協議をしたいと思います。」となり、十五分後に再開する事になりました。
「湯川社長の意向を尊重させて貰います。但し、副代表幹事の制度を導入し、是非とも副代表幹事としてOSGコーポレーションさんになって頂きたい」との事でした。私は「喜んでお受けします。これからは代表幹事が上場会社の資格として、副代表幹事は中小企業メーカーが代表してやればどうでしょうか」と発言しました。
午後の総会でその事が発表されました。夕方になり運営委員会の皆さんと軽い食事を取りました。その時の席上で運営委員会のある方が「湯川社長の午前の発言には驚きました。湯川社長自らが『私は成り上がりだ』との発言に私は鳥肌が立ちました。」との発言に一同が頷かれたので、私は「でも皆さん、私が成り上がりだと言った時、誰も『湯川社長は成り上がりではありません』と言わなかったじゃないですか。」と言って私が笑ったので、全員もそれにつられて大笑いになり、その日が終わりました。

(次回に続く)

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