代表取締役 湯川 剛

ここでシンクロニシティ現象について少し説明しましょう。
何か行動を起こそうとした時に、それに関する出来事が自分の周囲で生じる現象の事です。
「意味ある偶然の一致」とも説明できるかもしれません。これは心理学者のカール・ユングによって提唱された概念です。
ユングは全てではないにしろ、幾つかの「偶然の一致」は単なる文字通りの「偶然」ではなく、非因果的な複数の現象の同時発生等と提唱されています。

このように説明すると難しく感じるのですので、簡単な例で説明しましょう。
例えば1つの事象として「花瓶が割れた」、そして時同じくして「病院で祖母がなくなった」というのが、シンクロニシティ現象であるとしています。
「花瓶が割れた」という出来事と「病院で祖母がなくなった」という出来事には通常、何の因果関係もありません。ところがその割れた花瓶は、病院で亡くなった祖母が作製したお手製のもので大変大事にしていたもので突然、奇妙な音共に割れたとしたら・・・。そこに居合わせた人々が不吉に感じ、祖母がなくなったと知らせを受けると、この事象はそこに居合わせた人々から見れば1つの出来事として紐づくと考えます。
会いたいなと思っていた人にバッタリ会う。買おうと思っていたものが突然プレゼントされる。タクシーを捜していたら目の前で客が降りる等もその現象だという人もいます。
思い(想い/念い)は実現する。思い(想い/念い)はその状況を作る。
だから良い事を思えばいいのです。良い事を念じればいいのです。逆もあるので要注意です。

さて本文に戻しましょう。
私が何故、シンクロニシティ現象の話をするかと言えば、そのような現象に過去から多く出会っているからです。他人はそれを「偶然だ」というかも知れませんが、それは「意味のある偶然の一致」なのです。この「人生はプラス思考で歩きましょう!!」の中に数多く出てきます。

例えば、第1次7カ年計画での自社ビル建設の話を覚えているでしょうか。(第36回〜39回等)
雑居ビルに入居している会社だからと企画を断られた。それによって自社ビルと建てる事を決意する。すると、断わられた会社の隣に売地が出る。勿論、そこに自社ビルを建てるのですが、偶然と言え、その会社の隣に売地が出るなど私から見れば意味のある偶然の一致なのです。
第2次5ヵ年計画の低周波治療器の販売日本一を掲げた時もそうです。(第76回〜78回等)
当時、製造委託していた西山社長に「日本一になりたいので製造環境を変えて欲しい」と依頼をしたのですが当初は聞き入れてもらえず、仕方なく専門メーカーを探しに行く訳です。ある長崎の専門メーカーが引き受けてくれる訳ですが、しかしやはり世話になった西山社長だからと一緒にその専門メーカーで製造して貰おうと準備をしていました。そんな矢先に西山社長がゴルフの練習中に突然死されるのです。享年52歳の若さです。もし私が事前に「日本一になりたいので、日本一の製造委託会社を捜しに行く」と行動していなかったならば、そしてその会社と出会わなかったならば、製品の供給も止まり、日本一どころではなかった筈です。
アントニオ猪木さんとの出会いもそうです。たまたま弊社のCM出演者を誰にするかを検討している時、「アントニオ猪木はどうだろうか」という話題になった。ところが「出演費用が高額。金額問題を除外しても、無名のOSGのCMに超有名な猪木が出演する筈がない」と広告代理店は「NG」(第82回)その状況下、アントニオ猪木さんと新大阪駅でばったりと出会うのです。(第83回)細かな話なら数え切れないくらいにあります。

これからお話しする中国進出の話もそうです。
第5次4カ年計画の目標は、@グローバル化を目指す A事業領域を拡大するとの事でしたが、しかしどのようにして海外進出を図るのかは、当時は経験もなく目標を掲げても具体的な案は白紙状態でした。
人との出会い。取引先との出会い。製品との出会い。そして社員さんとの出会い。
「なぜ、このタイミングでこの人と、この取引先様と、この製品と出会ったのか」
まるで引き寄せるように出会うのです。それがシンクロニシティ現象なのです。

 

追記
以前、全国こども電話相談室というラジオ番組で相談者の子供が『自分は同じ3桁の数字と出会う事が多いが、これは何か不思議なチカラでもあるのか。例えば何気なしにデジタル時計をみると3時33分とか別の日には4時44分。家族と旅行に行った時も、ホテルの部屋番号が222号室とか図書館整理番号が555番。』そこでおなじみの無着成恭先生が独特な言い回しで次のように回答した事を鮮明に覚えています。

まとめて言うと「現実にはこの程度の偶然は頻繁に起きている。問題はそれに気付くか気付かないかだけだ。その子供もデジタル時計で2時38分を見ているし、図書館整理番号が168番であったり部屋番号が326号室と出会っていてもその数字には気を止めていない為、忘れてしまうのです。すなわち気にしている分だけ、記憶に残るので自分は同じ数字が並ぶ現象と出会う。」的な回答を言っていました。
すなわち気付かなければその偶然は起こらなかったのも同然だという事です。

私はカーラジオからの全国こども電話相談室でのこのやりとりに大変納得した次第です。
勿論、厳しい決断や経営を判断する時にユングのシンクロニシティ現象だけを考えている訳ではありません。シンクロニシティ現象を科学的な考えで言えば、無着先生の回答で判断する事も出来ます。
当時、猪木さんを意識していない時は猪木さんの出ている番組等には興味もなく見過ごすのですが、意識した為に猪木さんの出ている番組にテレビチャンネルを合わせるのでしょう。
そして「猪木さんの番組とよく出会う」という錯覚に陥るのです。
しかし、そのテレビを見て1週間後に、新大阪で猪木さんと会う等、偶然とはいえ科学的に説明がつかないような現象も起こる訳です。

(次回に続く)

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