代表取締役 湯川 剛

ヒルトンホテルのカフェで金菫事長は熱心に、来日の経緯からOSG製品の発注、そしてOSGの企業文化に対して等を話してくれました。事前に朴社員さんから受けた報告の通りでした。私は上海上空から目にした中国の街並みを見て「やる限りは中国ナンバーワンになりたい」と思った事を話したところ金菫事長も「その通りだ」と、出会って数時間しか経っていないというのに、2人は意気投合していました。

金菫事長の話によると、香港T社は2003年2月に香港市場に上場。具体的な活動は中国本土。中国T社(広州/珠海)には約300人の社員と約300社の代理店を保有。
その300社の殆どは、中国T社に勤務していた元社員さん達を次々に独立・起業させて作り上げた代理店ネットワークであるとの事。いわば代理店社長の大半が、金菫事長の元部下な訳です。主に布団など寝具の生産をしており、全国の代理店経営者は元社員なので、言ってみれば製造から販売まで一元管理が可能な仕組みが構築されていました。
金菫事長は国営アパレル企業の工場長として働いた職歴があり、ケ小平副首相が宣言した中国経済開放の流れに乗って民間企業T社を1992年2月にわずか数名で立ち上げたとの事。
起業11年後、約300人の社員と約300社の代理店の規模に成長させ、香港市場に上場。
経済成長著しい勢いのある中国が、まさにそのままT社の勢いになっている感じです。
中国の成長は国民に新しい生活文化を広め、その1つとして従来の旧式布団からベッド等の寝具へと切り替えが行なわれる事でT社も著しく成長していったようです。
しかし寝具販売だけでの拡大は難しく、特に寝具はどちらかといえば冬物商品。その為、夏物商品としてアルカリイオン整水器に着眼。

そこで家庭用アルカリイオン整水器を製造していた中国国営家電製品企業M社(中国上場会社)とT社との合作生産工場を立ち上げたそうですが、不具合が多く発生した為にアルカリイオン整水器の発祥の地である日本を訪ねて来たとの事でした。
私はM社との合作で作ったというT社製のアルカリイオン整水器を見て驚きました。外観こそ多少の違いはあるものの、それはまさしくOSG製品をコピーしたものだったのです。
私はその場でOSG生産関係者に連絡。数年前にM社が来社している事が判明し、名刺も残っていました。つまりアルカリイオン整水器の心臓部である電解層をOSG製品からコピーしていたのですが、素材が全く違う上、電極板の寸法・枚数も違っている事が分かったのです。
何よりOSGが特許取得している部分なので完全な特許侵害。中国上場企業であるM社にしてこのような行為が成されている事に中国の凄まじさを感じました。勿論「コピー商品とは知らなかった」という金菫事長の言葉をそのまま鵜呑みにする訳にもいきません。

中国進出に関して「中国に進出するとすぐに模倣品が出回るので、そんなリスクは背負いたくない」との声を耳にします。私は「毎日、中国という文字が新聞に掲載されない日がない今の時代、模倣されるリスクよりも中国に進出しないリスクの方がもっと危険」と思っていました。進出せずとも市場に製品を出した瞬間、模倣品流通のリスクは発生するのです。
特許侵害等については後日、別途対処する必要がありましたが、既に私の心は、正しい製品を供給する事で双方、未来志向で取り組もうと思っていました。

(次回に続く)

ご意見、ご感想は下記まで
support@osg-nandemonet.co.jp