代表取締役 湯川 剛

上海代理店社長が企画した寸劇は大変好評で、会場は大爆笑での大ウケでした。
見事、上海代理店社長の目論みに成功したとの報告です。成功したという事は、予想以上に販売が出来たのでしょう。

そのような会場の大爆笑の中で、固い表情のまま無言で見ている男達がいました。
それは金菫事長とOSG中国の幹部達です。
私は単に上海代理店社長に喜んで貰いたくて、この寸劇の話を引き受けたわけではありません。何故、私が引き受けたのか。何より私がそれをやる意味をOSG中国の幹部に知っておいて貰いたかったのです。
製品1台の販売に尽力する営業最前線の事を、製造側はどれほど理解してくれているのか。
そういう意味でOSG中国の幹部達に知らせる絶好のチャンスでした。
幸いにも蘇州の工場は上海から車で約2時間の距離。朝出発すれば十二分に間に合います。
そこで私は工場関係の幹部と偶然にも翌日の上海でのイベントに参加する為に訪中していた日本の幹部ら全員に、上海代理店のお客様集会に参加するよう、急遽前日に指示しました。その彼らが会場の最前列に座っていました。勿論、内容は一切明かさず、参加させた訳です。

幹部らはまさかこの寸劇に自社の社長が登場するとは思ってもいなかったでしょう。
まして箱型の商品模型に入り踊る等、日本ではあり得なく想定外の出来事だったと思います。
前日、一緒に寸劇の提案を聞いていた筈の金菫事長も、舞台で私が箱から顔を出した時には真剣な面持ちでいました。
お客様集会後の昼食時、金菫事長は改めて私の前に来て手を差し伸べ、握手を求めて来ました。
「私は改めて湯川さんの仕事に対する考え方や取り組み方に感銘しました。昨日、この話を聞いた時には実は軽く考えていました。しかし手足を出して踊って出てくる姿を見た時に鳥肌が立ちました。」
それにしても今回のような事は、日本では到底考えられない事です。中国磁場とでも言うのでしょうか。中国ではこのような行動を起こさせる不思議な力があるように思います。
もし、これが日本であったとしたら、私は引き受けたでしょうか。その前に日本の販売代理店の社長が私にこのような要求はしなかったと思います。万一、要求された場合、私は正直、すんなりと引き受けなかったかもしれません。やはり場所が中国だったからでしょうか。
いずれにしても中国に来て1年と4ヶ月。この16ヶ月で私の中国に対する見方も変わりました。日本から赴任して長く中国で働いている人が定年後も日本へ帰らないという話を聞きます。また定年でなくても途中で日本に帰国命令が出ても帰国しないまま中国に残る人がいます。
そのような人達の殆どが「日本では細かな事に気を使い人間関係で気疲れする。中国ではそこのところが余りない。日本人からみれば大雑把でだらしなく見える一方で、大陸的とも言える大らかな部分はある種の魅力かもしれない」という話をよく聞きます。何となく理解出来ます。

逆に中国から日本で働いている人が中国に帰りたくない要因は「空気や水がきれいで安心」や「社会保障が充実している」という話をよく聞きます。いずれにしても人間は習慣の動物であり、環境の動物なので住めば都という事でしょうか。私のように月の内半分を日本で、残り半分を中国で過ごしていると、いずれの国の良さも理解できます。たぶん日本では踊らなかったし、お客様も驚かれたとしても大爆笑でウケる事はなかったでしょう。

さて翌日、日本OSGの殺菌水ビジネスの上海代理店が上海市内でセミナーを行なう為、私は訪中していた幹部達と場所を移動しました。
会場等、詳しくは聞いていなかったのですが、なんと船を借り切っての船上パーティーを兼ねた殺菌水セミナーでした。この企画も同様、中国は思い切った企画や発想を行動に移します。

 

【後記】
2015年もあとわずかで終わろうとしています。
今年も1年間大変お世話になりました。
昨年までは月2回の掲載(1日・15日)でしたが、2020年の50周年を迎える時までには1~2年遅れの掲載をする為には・・・と今年から月3回(1日・10日・20日)掲載を試みました。正直、仕事の合間に文章を仕上げるのは並大抵のものではありません。
月3回掲載で前に進んだのかといえば、結局はまだ2004年11月頃を掲載しています。
私の計画表では12月20日掲載は2005年12月頃を作成する計画になっていますが、何と1年以上も遅れている事になります。

さて2004年の内容は殆ど、中国進出の話題で費やされているような感じですが、いよいよ04年後半より水宅配事業の話題となってきます。
この時期の私は中国進出と水宅配事業への2大課題に七転八倒します。中国進出だけでも大変なのに、更に水宅配の新事業への参入になる訳です。

来年も「人生はプラス思考で歩きましょう!」をよろしくお願い致します。

今年も1年間、ありがとうございました。

(次回に続く)

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