代表取締役 湯川 剛

話を水宅配に戻します。

アクアCと決別すると方向性が明確になり、2つの戦略(同質化戦略・差別化戦略)の具体的構築に力を入れました。

ところが、アクアCとの決別によって解決しなければならない厄介な問題がありました。
それはアクアCブランド保護を目的に引き取った旧アクアCジャパンの在庫の事です。
今や私を悩ます種以外の何ものでもありません。
旧アクアCジャパンの管財人から在庫の全てを引き取って欲しいと依頼され、水宅配用ガロンボトルの充填機の他に、ペットボトルの充填機や製造コンベア等、アクアCブランドとは直接関係のないも在庫に含まれており、私自身の判断ミスが招いた結果だとは認識しながらも、頭の痛い不眠要因の1つになっていました。

さて結果はどうなったのか。私から見れば神風が吹いたとしか思えない事態が発生しました。

最初の風は思いもかけないところからやってきました。
05年10月、山梨県富士吉田の会社から「ペットボトルの充填機と製造コンベア一式を買取りたい」という問い合わせが入りました。アクアCブランドと直接関係のなく、処理に困っていた在庫です。充填機や製造コンベアに対するOSG提示価格は、通常の市場価格と比べ安価だったらしく大変喜ばれました。当然、こちらも利益は頂きました。

その後、私は渡米しシカゴにある旧アクアCジャパンと取引していた機械メーカーと面談。
彼らは旧アクアCジャパンが倒産した事を知っていましたが、新生アクアC社からは何の連絡も無く不安がっていました。それから数ヵ月後に彼らが来日。「在庫の機械を見せて欲しい」と要求され、彼らとしては機械の品質が保たれているのかを確認したかったのでしょう。
翌日「我社は世界市場でビジネスをやっているので、もし我社の機械が安価で市場に流れると困る」との理由から「全品引取りたい」との申し出がありました。そして彼らからは「湯川さん、よく私共の機械を引取ってくれた。もしこれが外部に流出していたら価格崩れの危険もあり、我社にとって大変な事になるところだった」と意図せず感謝されました。世の中、何が幸いするか分かりません。当然、こちらも利益を頂きました。

さて肝心のサーバーがどうなったのか。
シカゴの機械メーカーが懸念したのと同様、安売り量販店にアクアCブランドのサーバーが流出してしまった場合、大変な事に成りかねないと判断し引取った大量のサーバー。
ところが、このサーバーにも神風が吹いたのです。
当時、旧アクアCジャパンに納品していた五井物産から「管財人に確認したところ、全ての在庫品をOSGさんが引取ったと聞いた。サーバー在庫全てを引取らせて欲しい」との連絡が入りました。理由を尋ねると、そのサーバーにはPSEマークが無いという事が分かりました。
PSEマークとは、電気安全法に基づいて電気製品の安全性を第三者認証機関で確認した証のマークで、輸入元が責任を持ってやらなければならないものだとの事でした。
もしこれが市場に出回れば、輸入元である五井物産が責任を追及される為、全品引取るとの事で話がまとまりました。元々管財人から引取った金額は、市場価格よりも格段の安さだったので結果的に大きな利益を生みました。しかしそれら機械やサーバーを引取るに至った本来の目的は、利益確保を目論んでのものではありません。何度も何度も説明をしましたが、ただただ「アクアCブランドを守りたい」一心で起こした行動だったのです。

山梨県富士吉田の業者さんは通常で購入するより5割安く手に入れて喜んでくれました。
シカゴにある機械メーカーは「価格崩れが防げて本当に感謝したい」と言ってくれました。
大手商社は「あのまま市場に流れると大変な問題が起こりました」とこれも感謝。
普通、相手が喜んで貰えば自然とこちらも笑顔で返すところでしたが、内心はやれやれやっと解決できたと、どちらかと言えばこちらが感謝したい気持ちでいっぱいでした。
これで私の不眠症要因の1つであったアクアC関連在庫を、会社に迷惑をかける事無く無事に解決出来ました。全ては私の安易な決断ミスが原因。解決までに1年以上も要しました。

神風サマ、ありがとうございます。

追記
明日からホノルルマラソンへ出発する為に、第309回は12月6日に書いています。
今年も新卒入社の1年生達19名全員とホノルルマラソンに参加します。

そして同じく12月6日、東京証券取引所に下記の書類を提出しました。(弊社ホームページ掲載)

当社代表取締役会長保有株式の一部贈与に関するお知らせ

当社の代表取締役会長である湯川剛は、その保有する当社普通株式の一部を、下記の通り、
当社グループの社員に贈与いたしましたので、お知らせいたします。

1.贈与の内容
平成28年1月1日現在で在籍する当社グループの社員を対象に、当社の代表取締役会長である湯川剛が保有する当社普通株式を贈与いたしました。

2.贈与する株式数:100,000株

3.贈与日:平成28年11月30日

4.贈与の目的
当社株式の保有を通じて、当社の事業の成長及び発展に継続的に取り組み、また当社の業績向上及び株主価値最大化への意欲を高める為に実施いたしました。

簡単に説明しますと、私名義の当社株式をOSGグループの社員さんに10万株贈与したという事です。贈与の目的はこのように書いていますが、一言で言えば社員さんに対して感謝の気持ちを表したものです。
以前、社員さん達に「皆さんに渡す株価が1000円なら10万株で総額1億円。これを2億円・3億円へと価値を高めて行きましょう」と話した事があります。

昨日5日までの年初高値970円で昨日の終値962円でした。

今朝『あと38円の不足だなぁ』と思いながら午後、この文章を書いていましたが、株価が変動して『年初高値更新。1000円』
いや、正直驚きました!

神風の神様に通じたのかなぁ!

尚、贈与対象が今年1月1日在籍の社員さんとなると、今春入社の新卒社員の皆さんには行き渡らなかった訳です。まずはこれを第1回目として、次の機会も考えたいと思います。

(次回に続く)

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