代表取締役 湯川 剛

ジャスダックに上場する際、特にアナリストの方々が関心を持って頂いたのが、OSGのカートリッジ交換、つまりメンテナンス業務に関してでした。殆どの浄水器メーカーはカートリッジ交換をお客様の判断に任せるという仕組みを採用しています。しかしOSGではご購入頂いたお客様をコンピュータに登録し、定期的な訪問でカートリッジの交換を行なうというビジネスモデルなのです。ちなみに2004年の秋に大阪の帝国ホテルで30年以上、ご愛用の方の集いを行ないましたが、このメンテナンス業務に力を入れてきた事は正解だと自負しています。でもそのルーツは正直なところ、こんな切羽詰ったところからスタートしていたというのが本音なのです。

さて、34年前の1972年1月に話を戻しましょう。
売るべき在庫もなく、やむを得ずカートリッジ交換で何とか生計を立てようとしましたが、W社からは交換用のカートリッジも納品されなくなりました。それでも何とか出来ないものかと活性炭メーカーを訪ね、納品して貰えないかと交渉。その結果レンゴー産業という卸業者を紹介して貰えました。事情を説明したところ、快く引き受けてくれ、カートリッジを作る為の部材も与えてくれました。でも大変な作業でした。昼間に交換した古いカートリッジを夜に再生作業をするのです。今でこそ自動充填機がありますが、その時代は手作業で行なっていましたので、活性炭を詰める度に鼻の中が真っ黒になる状態です。ドロドロに汚れて作業していると言ってもいい位、顔も真っ黒になりながらやっていました。ある日、兄が訪ねてきて私のそんな姿を見て言った「それでいいのだ。お金を稼ぐには、そのように汚れながら稼いで、そしてきれいに使え」という言葉は、日記にも記してありました。

毎日このような事を続けていると、ふと「こんな事をこれから先、何十年もやらなきゃならないのか」と不安にかられる事もあるかもしれませんが、私自身は常に必ず状況は好転するという思いがあって、この状況を不安に思う事はありませんでした。いずれにしてもこの手作業の活性炭詰めは、私の仕事のもう一つの原点であるかもしれません。またここで出会ったレンゴー産業の方々から、色々な事を学ぶ機会を得ました。例えば「活性炭とは何か。なぜ活性炭がニオイを吸収するのか」など、浄水器を売っていた時にはあまり意識のしなかった事を教わる機会を持つのです。またレンゴー産業は水道局に活性炭を納品する業者だった為、水道局の実態も教えて貰いました。

(次回に続く)

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