代表取締役 湯川 剛

08年9月9日13時、OSG本社に本所社長と役員・企画室長が来社されました。

初めて会った本所社長は、話している内に気さくな人柄を感じました。伊藤忠商事で長く商社マンをやられ、東証一部上場企業の社長という肩書き。私も過去にそのような立場の経営者と多く面談してきましたが、ともすれば大上段に構える経営者もいる中で、実にフランクな方でした。
関西大学卒業というので、更に親しみを感じました。面談の主な内容は、次の通りでした。

ジャパンフーズ(JF社)は総合飲料受託生産会社、すなわち他社ブランドのOEM品を生産する、いわゆる縁の下の力持ちのような立場。他社と言っても最大手の有名ブランド飲料水の受託生産を行なっているとの事です。有名ブランドとはいえ他社製品を作っている事で社員並びに従業員の皆さんが誇りを持つ事がなかなか難しい。そこで自分達が手掛けるブランド製品が欲しい。OSGの子会社であるウォーターネットに関与出来るか否かを検討したい、というのが主旨でした。
その為にも水宅配事業についてもっと調べたい。水宅配事業の市場性や収益性、将来性等を調査すると同時に、OSGについても、またウォーターネットについても調べたいとの事でした。

本所社長の話を聞き、経営者として多面的に将来を考える中で水宅配ビジネス参入に着眼され、その発想の根幹に「社員さんの働く意欲」を考える本所社長に私は好感を持ちました。
この時の私の感情は「伊藤忠商事」に対する意識は、全くありませんでした。
面談するまでの私の思考回路には「伊藤忠商事」が120%存在していましたが、話し合っている内に「伊」すらなかったです。
ただただJF社という企業、そして今、目の前に座っておられる本所社長に対して心が動かされていたのでしょう。お互い、関西人独特の話し方と5分毎の笑いが、JF社や本所社長の好印象が大いに関係していたのでしょう。それにしてもトップのイメージが会社全体のイメージに繋がる事に改めて学びました。もし別の人物が社長なら、JF社のイメージも変わるでしょう。
ただ鋭く質問される時の本所社長の目は、当然厳しいトップの表情になります。当然の事です。
90分程の面談でしたが、私は初めて会った気がしませんでした。
私の経験から判断すると、少なくとも本所社長はOSGに対して「相容れない」というネガティブな感情はなかったと思います。「OSGに対する第一評価はどうでしょうか」など聞く事は出来ませんが、こちらが嫌な気持ちで対応すれば、間違いなく相手にも伝染するものです。その逆もあります。事業はそんな感情だけで動かされるものではありませんが、だからと言って人間の感情を無視してビジネスを進める事もあり得ないのです。感情を度外視して、資料や数字だけを見て大よその判断する事があっても、やはり「生身の人間」から来る雰囲気を確かめるものだと思います。だから本所社長もわざわざ千葉から「生身の湯川」を確認しに来られたのだと思います。「これは我々と手を組む相手ではないな」と判断されれば、次の約束を曖昧にしながらこの日の面談は終わるのですが、帰る間際に次回面談の約束となりました。

話は全く変わりますが、「評価・判断をする」という事で、私はこの水宅配事業で1つの事例があります。この水宅配事業の創業時に登場するある人物を思い出します。彼はかつてカリスマファンドマネージャーと呼ばれていたらしいです。著書も何冊かあります。この「人プラ」を読まれていた方は覚えていると思います。藤本氏が私と出会った時に「藤本塾長は企業を評価するとか、どのようなところを見て判断するのですか」の質問に「私はその企業を評価する時、数字や実績をあまり重要視しません。どちらかと言えば、経営者の考え方や人柄を見てその企業に投資するか否かを判断するのです」と言った言葉を思い出します。私はその藤本氏の考え方に惚れて、私はひとり塾生として「藤本塾長」と呼んでいたのです。ところが思い出せば、彼らと分かれる際に藤本氏は石塚氏や特に粟山氏の示した数字に動かされて、相手側についた時には愕然とはしませんが、失望しがっかりしました。ご存知のようにその結果、数年後には3人がバラバラになった事で「やっぱりな」と思いました。
裏を返せば、当時の藤本塾長の「その企業を訪問する時、数字や実績を私は重要視しません。どちらかと言えば、経営者の考え方や人柄を見てその企業に投資するかを判断するのです」の考え方は正しかったのです。家庭も企業もそして国家も、所詮は「ヒト」が動かしているのです。

脱線しました。話を元に戻します。
さて次回面談が決まりました。9月24日、今度は私がJF社を訪問する事になりました。
日を空けずすぐにでも訪問したかったのですが、既に中国出張で日程がびっしりと決まっていた為、15日後の9月24日になりました。

私は長年、経営者として時には神頼みをする時があります。自分の努力以外が作用する場合に「神様、お願いします」と手を合わせるときがあります。
今回のJF社との出会い、そして本所社長との出会いこそ、まさに本来のウォーターネットの進むべき道であり運命であると感じました。そして神頼みをしました。「神様、お願いします」。

「会社経営で神頼みだなんて・・・」と思われる方がおられるかもしれませんね。
誤解のないようにお話します。私は今まで自分が考えるあらゆる手立てや努力、更に人脈による協力者のチカラを借りて、全てをやり尽くした上で、最後のもう一押しが「神様お願いします」を行ないます。いわゆる「人事を尽くし天命を待つ」心境です。自分自身ではどうする事もできない場合に、私は「神様・・・」と言っています。
だからと言ってうまくいかなかった場合は、私の努力不足を咎めます。

今回の本所社長やJF社との出会いに「どうかこの出会いが上手くいきますように」と神様にお願いしました。

しかし神様はそう簡単にはその望みを実現させてくれなかったのです。


(次回に続く)

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