代表取締役 湯川 剛

「天然社」という香港上場会社のブランドで、かつては全国300拠点が統一されていました。しかし現在では旧天然社の各代理店はそれぞれの道を歩んでいます。

今回の事件をきっかけに更に拡大していく代理店もあれば、消滅していく代理店もあります。ただかつては天然社というブランドでの「同志」であったので今回の事件をきっかけに、女性董事長を助けようという機運もありました。親しい代理店が集まり、女性董事長の安否を気遣っていました。例えば健康食品やアルカリイオン整水器を束ねている中国保健協会の幹部を訪ね、善後策を協議したり、人脈ネットワークを使って警察からの情報を得ようと動いていた事もありそうでした。この女性董事長は人徳者として業界でも有名で、それだけに周囲のショックも大きかった訳です。日本人である私は中国人の彼らとは違い、冷静に客観視していて、今回の事件は根本的な問題があると感じていました。結果には必ず原因があります。原因のない結果等ないのです。
その原因は、総経理に「全権委任」していた事だと思っています。例え董事長が総経理に直接「1年分一括販売」の指示をしていなかったとしても、その権限を与えた事がこのような問題を起こしている訳です。
何故「全権委任」をしたか。私が問題にしたいのは、ここの部分です。
私の知っている中国の経営者の中でこのようなタイプの経営者が多いです。特に女性経営者にそれがあります。日本では考えられない事ですが、経営を他人に任せ、自分は長期の海外旅行等に出かけます。しかも数か月に渡ってです。任された総経理には実績の出来高払いのような仕組みを取っています。そうなると今回のような事件が起こる訳です。「結果」イコール「報酬」の仕組みが出来る訳です。当然、全ての中国人経営者がそうだという事ではありませんが、こういうやり方で日本に長期滞在している中国人経営者を私は知っています。私は「会社は大丈夫なの?」と思うくらい金満生活をしています。勤勉な日本人経営者には考えられない事ですが、「財務さえ握っておれば、あとは成果主義で総経理に報酬を渡すだけで大丈夫だ」という考えです。このような経営についていけない私は、むしろ時代遅れなのでしょうか。

さて欧愛水基は、今回の事件から各代理店がアルカリイオン整水器の魅力や必要性に対する関心が低かった為に起こった問題だと、捉えました。そこで改めて各代理店に製品教育をする必要があると思いました。ただ限られた人数で広大な中国市場に1社1社、整水器の再教育をする事はコスト的にもかなり厳しいものがあり、地域によっては1日仕事で収まらない場合もあります。東京から沖縄を経由した後、北海道へ向かうような感じです。
移動費用や宿泊費用等、考えればとてもじゃないですが対応できません。訪問すれば必ず発注して貰える以前のような状況ではありません。「製品教育」に行く訳です。製品の勉強や売り方、更に製品の取付け方等、一から教えなくてはなりません。何度も言いますが、それぞれの代理店も以前は整水器の知識を持った社員さんやメンテナンスが得意なサービスマンが多くいた訳です。それが数年間、健康食品をメイン商材として取り扱った事によって整水器経験者が皆無になった訳です。

そのような中でどのようにして対応すれば良いか、社内で協議を重ねました。

「従来の延長線で考えるのではなく、思い切った発想の転換でやって欲しい」
その方針で何度も協議を重ねた結果、従来と全く違った対応策が生まれました。
それは「展示場を作ろう!」という事です。これにはヒントがありました。

中国の健康産業業界でトップの地位にあり、欧愛水基の最大の代理店でもある広東省・シンセン代理店が「水の科学館」を設置し、一般顧客を招いているという事です。
この「水の科学館」の一般顧客を代理店に見立て、更に大きな規模の「水の科学館」構想です。

ちなみにこの広東省・シンセン代理店も女性董事長ですが、長期の職場離脱等は絶対にしません。

(次回に続く)

ご意見、ご感想は下記まで
support@osg-nandemonet.co.jp