代表取締役 湯川 剛

この年は7年前に「君とこは雑居ビルだから取引できない」の言葉に奮発し、「創立10周年には自社ビルを建ててやる」の約束の年でもありました。残念ながら約束通りの期限(8月29日)には完成しそうにもありませんでしたが、用地も確保し6ヶ月遅れの1981年2月に完成予定で進んでいました。とにかく10年という年月は私にとって、大きなひとつの区切りでした。よくぞ10年ももったなという感想です。いつかはつぶれるぞと言われながらも、ここまで来れた原因は、自分には掴めていませんが、あえて言うなら「夢」が全ての苦しみや辛さを跳ね除けてくれたのかも知れません。
10年の区切りに何かやろうという話が、社内で持ち上がりました。しかも1年かけてのイベントをやろうという事です。すなわち1年後の創立祭に向けてやろうという企画でした。そこで全国のガソリンスタンドをネットワークにして「創立10周年記念イベント・健康イメージギャルキャンペーン」を行ないました。後援には毎日放送・ラジオ大阪も決定。社歌も作り、来年の1月15日の創立10周年記念式典に向けて着々と準備を進めていました。

「健康イメージギャルキャンペーン」とは、美人コンテスト的なキャンペーンではありません。
文字通り「健康」なイメージですので、中・高学生(父兄承認可)の真っ黒に日焼けした女性の応募も多くありました。優勝者には賞金と旅行があり、コマーシャルの出演もありました。申し込みはガソリンスタンドで受け付けたり、中にはガソリンスタンドの社員さんが、来店されるお客さん(勿論、女性)で健康的なイメージの方に参加の呼びかけをして申し込んで頂く仕組みでした。

ここで私が新たに学んだ事があります。それは、選考会での出来事です。審査員には放送作家やその業界のプロの方々にお願いしたのですが、これがかなり厳しい事を言うのです。またオーディションに来る女性達も負けてはいません。どんなに辛らつな事を言われても嫌な顔ひとつしません。審査員はプロとして多少理解できるのですが、応募されている女性は全て素人なのに見事に対応するのです。それぞれの特技があり、それを堂々と披露するのです。私は横から見ていて「これは夢があり、好きだからこそ出来るのだ」と改めて「夢」や「好き」は人間にとって重要な事なんだと感じました。私自身には「夢」や「目標」はありましたが、どれ程好きになって仕事に取り組んだのかと10年目にして心を新たにして学びました。

(次回に続く)

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