代表取締役 湯川 剛

私がひげを伸ばしている事に真の理由を知らず、勝手な解釈をされた方もいました。
一番多かったのは「指揮官として威厳を見せる為だ!」というものでした。勿論私に直接そのような解釈を言った人はいませんが、噂で知るとそうでした。社員さんに言う場合もあったでしょう。しかし私自身はひげが威厳を表現するなど、思ってもいませんでした。

では何故ひげを伸ばそうと思ったのかという事です。
ある時、私は書店で本を立ち読みしていました。すると横から「指揮官」と呼ぶ声がしました。ガソリンスタンドのユニフォームを着た青年でした。一瞬、誰だか分かりませんでしたが、服装で「訓練生だ」と思いました。「○○石油の○○です」に「おぉ、元気か」との会話でした。訓練での感想やそれ以降の頑張りなどを話し別れました。
その書店を出て、私は考え込んでしまいました。私はどんな本を立ち読みしていたのだろう。訓練生にとって見れば、2泊3日の50時間はそれこそ鬼のような指揮官であり、私の発する言葉に影響を受ける事も多少なりともあった筈です。ところが私自身は1歩道場から離れてしまえば、「湯川指揮官」ではないのです。しかし訓練生にとって見れば、どんな場所にいたとしても私は「湯川指揮官」なのです。
ちなみに、30年近く経った現在でも、私の事を「湯川指揮官」と呼ぶ訓練を受けた社長さんもいます。

私は考えました。訓練生を裏切らない指揮官になるには、どうしたらいいのか。それにはまず自分自身が自覚する事にあると思いました。では自覚するにはどうすればいいか。それは何処にいても隠れない存在。言い換えれば目立つ事で、自分自身を自覚するのではないかと思いました。自縄自縛する事は大変につらい事ですが、訓練生を裏切らない指揮官にはそれしかないと当時思いました。33歳という年齢は働き盛りの遊び盛りです。それを規制する事は大変でありましたが「ひげ面」が制御してくれました。

話は変わりますが、「脱サラリーマン=脱サラ」という言葉が誕生した当時、続々と若き経営者が生まれました。仕事に対する頑張りは当然ですが、若い経営者の中には「遊び」に関しても一生懸命なあまり、そんな「遊び」の部分で崩壊していく事例を山ほど見ました。そういう意味で私は訓練生によって育てられたのです。訓練生がいつも見ている。これはプレッシャーでもありましたが、私にとってこれ程の制御はありませんでした。

今年1年、ありがとうございました。
2007年も私にとって大変刺激的な年でした。48歳の年に「58歳で社長を交代」と社員さんに宣言しました。2年遅れではありますが、念願の社長のバトンタッチが出来ました。
OSGは現在2トップ制をひき、国内は39歳の若い社長に任せ、新事業と中国進出を含めた海外戦略は会長である私が担当する事となりました。そういう意味で「新生OSG誕生」の2007年は、殆ど日本にいない状況でした。本年最後の出張も年の瀬ギリギリの27日から中国・青島出張です。
来年もどうぞ「人生はプラス思考で歩きましょう!」をよろしくお願い致します。

(次回に続く)

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