代表取締役 湯川 剛

1994年1月4日、仕事始め。毎年、本社の会議室で初出式を行なっていたのですが、この年は本社近くの京阪電鉄天満橋駅上にあるOMMビルに全社員さんが集まりました。場所を変える事で新鮮さや緊張感を演出するのが狙いでした。

「大学に行った事で会社の実績が落ちた」では大学行きを賛成してくれた人を含め、全ての人に大変な迷惑をかける事となり、むしろ大学に行っても実績は上げなければならない。
また私自身を鼓舞する意味においても仕事始めに「本年度は15万台を販売するぞ」と全社員さんの前でぶち上げました。15万台は、前年比の約3倍という数字です。社員数は変わらないのに前年比3倍の目標に挑むなど、当時の力では至難の技で奇跡に近い数字でした。私達はこの計画名を「ミラクル計画」と呼び、当日はミラクル計画新春決起集会と銘打ちました。

新春決起集会は12時から18時までの延々6時間をかけて、役員・管理職による方針発表が次々とありました。社員さんも大変だったと思います。街では振袖姿の女性や凧揚げなどお正月モード満載ですが、OMMビルの会議室の1室は既にお正月気分も寒さも吹っ飛んで、熱気がムンムンしていました。

当時の私のスピーチの原稿には赤線で強調するように残されています。
「過去からの延長線上に未来はない。未来は経営者が開拓するものである!」と書いてありましたが、まさにこの言葉に示すような強い決意でこの新春決起集会に挑みました。
「全社員がこれは出来ると念ずれば、花が咲く。これこそがミラクル計画だ。」などと訴えました。しかし奇跡だけを信じてやろうと思ったのではありません。そこにはそれなりの根拠もありました。それは「ガスと水」というテーマで、大阪ガス様や西部ガス様などが私共の考え方に支持頂けるという自信があったからです。

前年末に大阪ガス向けの「七福神がやってくる」というキャンペーンを準備していました。
新年早々の1月10日には「大阪ガス新春セミナー:明るさの磁場経営」を開催し、100人近いガスショップ経営者が参加して頂きました。
翌日の11日には福岡に飛び、西部ガス主催で同じように新春セミナーが開催されました。
4日後の15日の関西大学の受験などすっかり忘れてしまうような状況でした。

1月17日(月)から私のスケジュールは殆ど毎日のように大阪ガスショップ訪問が組まれ、朝8時の朝礼参加から夜まで1日に4〜5社訪問しました。入学すれば夜の訪問は出来ませんので、4月1日の入学までビッシリと組まれていました。
訪問先では1時間30分から2時間ほど、社長さんと話し合いました。
10日に続いて1月28日には大阪ガス主催新春セミナー第2弾の開催が決まりました。
3月26日に向けて次々と契約して頂き、大阪ガスキャンペーン「サクラ咲く七福神がやってきた」と春版のキャンペーンが早くも2月に追加されました。

そんな時、米穀店業界も浄水器を扱いたいという話しが入り、早くも2月19日には福山米穀(広島県福山市)で「明るさの磁場セミナー」を開催し、文字通り「ミラクル」のような変化が起こりました。
販売目的のセミナー依頼だけではなく、他分野からの依頼もありました。
たとえば大手人材募集のenジャパン(ジャスダック上場)の前身の日本ブレーンセンターから「明るさの磁場セミナー」の依頼があり、3月2日には120名の参加がありました。

当時はミラクル計画を成功させる為のキャンペーン推進訪問とセミナー開催と新卒採用・リクル−ト活動及び夜間通学の4本柱のフル回転の日々で、いつ倒れてもおかしくない程のハードスケジュールでした。
しかし何としても「ミラクル計画」を成功させなければ、株式上場宣言も夜間通学の正当性も全てバランスの崩れたものになるからです。

 

追記
どうも最近の2ヶ月は、この「人生はプラス思考で歩きましょう!」の文章を書く気持ちになれませんでした。ちなみに5月1日更新分は震災前に作成済みでしたのでそれを掲載しましたが、最近はジョギングする気持ちにもなかなかなれず、その結果、2ヶ月で2キロ程体重が増えたくらいです。

原因は分かっているのです。やはり東日本大震災が自分の気持ちに何らかの影響を及ぼしていると思います。テレビや新聞での報道だけでなく、実際に被災地を訪れ、その悲惨な光景に触れたり、避難所で出会った人々との話は報道以上の悲しみに満ちていました。自分自身がジョギングをする事すら贅沢な気持ちではないかと、少しの罪悪感も覚えました。
帰らぬ肉親を探し、海に向かって名前を叫んでいるその姿に涙を流さない人はいないでしょう。

そんな悲惨な状況の中ででも、お前は「人生はプラス思考で歩きましょう!」と言えるのか。
どうなんだ!この悲しみの中で、何がプラス思考で切り抜くのだ!どうなんだ!
この言葉に責任が取れるのか。
自問自答する日々でした。このタイトルに時には自分を責める時がありました。

でも最近やっと落ち着いた結論は、やはり「人生はプラス思考で歩こう!」です。
涙を流しながらでも前に向かって歩かなければなりません。そうしなければ亡くなった多くの犠牲者の方々の命が無駄になってしまうからです。

私は今回の東日本大震災では直接の被害は受けていません。親しい方を亡くした事もありません。しかし何度も涙を流しました。この2ヶ月の貴重な体験を機に被災地の方々の為にも悲しんでばかりいないで、やはり「人生はプラス思考で歩きましょう!」で私は何を為すべきかを考えてみたいと思います。

(次回に続く)

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