代表取締役 湯川 剛

 

 

1994年8月29日(月)。私は幹部社員を集めて、来年の25周年を迎える為に25周年記念事業と株式公開までのシナリオを発表しました。それが下記の図です。

 

 

1995年

(25周年)

ミラクル計画 第2弾突入・営業所拡大 

販売台数:10万台

1996年

(26年目)

ミラクル計画 第3弾突入
2月:創立25周年ハワイ全員集合 

販売台数:12万台

1997年

(27年目)

ミラクル計画 第4弾突入 総仕上げ
隣より10センチ高い本部ビル1月着工 98年完成
OSGグループ合併実施。資本金:倍額増資 6億円

販売台数:15万台

1998年

(28年目)

上場登録準備1年目・夜間大学卒業

 

1999年

(29年目)

上場登録準備2年目

 

2000年

(30年目)

上場登録準備最後の年とする

 

2001年

(31年目)

2001年1月15日 創立30周年記念式典にて
株式上場の発表を行なう

 

他人から見れば、まさに「獲らぬ狸の皮算用」を発表しているように思われますが、本人は結構真剣に株式上場までのシナリオを発表していました。

ある年、私が所属している社団法人大阪府経営合理化協会での分科会「二世塾」に講師として呼ばれた時の事でした。タイトルは確か「リーダーは目標を掲げろ」的な話でした。

「二世塾」の名の通り、将来経営者になる立場の人達ばかりが40名程参加していました。

セミナーが終わった後、Q&Aコーナーがあり、1人の参加者から質問がありました。

「湯川社長の話の中でビルを建てるとか、売上目標を掲げるという内容は分かりますが、株式上場は貴社の問題ではなく、第三者が決める事です。しかもその壁は大変大きいものです。弊社も最近、株式公開をしましたが、並大抵の努力で出来るものではありません。大変失礼な質問ですが、そんな簡単な目標ではないと思いますが、如何でしょうか。」

機械総合商社の経営者のご子息の質問でした。自ら株主公開がどれ程大変なものかを身に沁みて言われたものだと思います。

私は講師の立場ながら「その目標、本当に大丈夫なの?」と受講生の前で言われているようなものでした。そこで私は「いやいや、出来る・出来ないは二の次です。大事な事は本日のタイトル通り、リーダーは目標を掲げろという事です。自慢じゃありませんが、私は第4次5ヵ年計画では見事に達成できませんでした。しかし私は懲りずに第5次10ヵ年計画を掲げたのです。失敗は諦めない限り、失敗ではありません。」と講師らしくない反論をしていたような気がします。

すると塾生の彼はこう言い続けました。

「頭では理解出来ますが、株式公開は売上・利益をある基準まで行かなければ難しいですよ。」

私は「今、出来ないからといって5年先・10年先も出来ないとは誰も言えません。それは会社であっても人間であっても同じだと思います。倒れないヤツが凄いのではなく、倒れてもすぐ起き上がるヤツが凄いんです。」など訳の分からない回答をしていました。

「分かりました。頑張って下さい。期待しています」の発言に「いやいや、本日のテーマはリーダーが目標を掲げよう・・・」と私は、彼の質問に多少影響されたのか、「本当に実現できるのかな」と、顔は笑顔で答えていましたが、心の中は少し不安になってきました。

後年、この質問をされた塾生と再会するとは夢にも思っていませんでした。

(次回に続く)

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