代表取締役 湯川 剛

1996年3月2日(土)。この日は全国の責任者会議がありました。第3弾チームがハワイから帰国した2日目です。私は改めて「ハワイ宣言」と「あと10年」に対し、やるべき課題、そして幹部の育成など強く訴えました。

ハワイから帰国した社員さん達は疲れも吹っ飛ばす位に頑張ってくれました。
「社長を辞める」という事には半信半疑というより、信じていない節があり「OSG=湯川」の図式のこの会社では、なかなか説得力がなく、ましてや10年先の事。

私はこの年も明るさの磁場セミナーと新卒社員採用セミナーと夜の学生生活で殆ど休日もなく、フル回転の40代最後の年でした。

この「人生はプラス思考で歩きましょう!!」では私の事を中心に書いていますが、社員さんの頑張りは、それはそれは大変なものです。
ちなみに「人生はプラス思考で歩きましょう!!」では社員さんの氏名の掲載は控えています。その理由は大きく2つあります。
ひとつはOSGにはサムライと言われる自慢の社員さんは数多く居て、営業での活躍を始め、お客様とのエピソードも枚挙に暇がなく、それを取り上げると原稿が前に進まないのです。
次に、もしエピソードがあっても私自身がその内容を知らない為に書き漏れをしては、その社員さんに申し訳ないので、敢えて社員さんの登場を控えています。

さて弊社には既に国公立大学卒の社員もいましたが、この年、私は国公立大学生向けの企業セミナーを初めて開催しました。
国公立大学生が私立大学生より優秀だとは思いません。しかし我が社のような企業にも国公立大学生が興味をもって貰えるような企業にしたいと思いました。なかなか集まってはくれませんでしたが、決してゼロではありませんでした。
私の好きな言葉である「求めよ、そうすれば与えられるだろう。捜せ、そうすれば見出すだろう。門を叩け、そうすれば開けて貰えるだろう。全て求めるものは得、捜すものは見出し、門を叩いたものは開けて貰えるからである。」という聖書の一節ではないですが、踏み出す第一歩こそがこのOSGの文化を形成している訳ですから、何でも挑戦です。
しかも不景気だからこそ出来る計画です。結果、国公立の大学生が、数多く採用セミナーに集まってきてくれました。

年末になると更に不景気な話しが新聞・ニュースで取り上げられました。
そんな中、私は幹部会でこう発言しました。
「今こそ隣のビルより10cm高い新社屋を建設すべきでないか」
この私の言葉に、その場にいた全役員が異を唱えました。理由は大きく2つです。
1つは不景気だから。この不景気に我が社の先も読めないとの理由です。そしてもう1つが株式上場の阻害要因になるという事でした。

私は「全社員がハワイに行けたのも不景気でチケットが安価だったから計画が可能になった。国公立の学生を採用できたのも不景気こその恩恵だ。もし本社ビルを建設して上場が出来ないなら、大した会社じゃない。不景気だから建築費用も安くなるのではないか。不景気が与えてくれるチャンスだ。」

「キツイ事を乗り越えた時の喜びの方が嫌な事から逃げてホッとするより大きい。人間面白い部分が少しでもあれば、キツイ部分は耐えていける。厳しい状況だからこそ挑戦しよう!!」

結局、幹部から意見を聞くなど体裁の良い事を言っていますが、超ワンマン経営の典型である独裁的社長の話は、やるぞ!不景気こそチャンス!!と終始吠えている状況で、この日は終わりました。
25年以上も「超」ワンマン経営をしてきた社長が、この年の2月に「10年後に社長は辞める」という話しを全く信じない幹部社員を始め、全ての社員さんの気持ちは分からない事もありません。

そんな40代最後の1996年も終わろうとしていました。
「ガォー!!」

(次回に続く)

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