大阪市天王寺区舟橋町5丁目2番地、舟橋ビル。たしか4階のわずか5坪の貸室。元々は掃除道具置き場だったらしい。5人のオフィスとしては、当時はそんなに狭苦しい感じもしませんでした。いわゆる『机1つ、電話1本』。
それでも自分達のお城が持てたのは嬉しいもので、自分達の電話があるというだけでニヤニヤしていました。
この5坪の小さなオフィスに全く似つかない、と言うよりバランスから見ても不釣り合いな大きな額が壁に飾られました。
「これはなんですの?」の声に
「会社の理念を飾るのや」
「理念?」
「そうや、理念や」
「理念ってなんですか?」
「わが社がこの社会にいる存在感みたいなもんや」
そんな会話を整理されていないオフィスの中でした事を今でも覚えているのは、それだけこの額縁が気に入っていたからです。
『三愛精神』
人を愛し、
仕事を愛し、
人生を愛せ
『活日の訓』
活気溢れる行動せよ、
目標を持って行動せよ、
悔いなき1日として行動せよ!
と小さなオフィスの壁に大きな額が2枚アンバランスに飾られていた。
会社には理念がなくてはならないと強く認識したのは会計事務所時代だった。習わぬ門前の小僧ではないが、 会計事務所を訪れる多くの社長さんを見て、いわゆる『儲けている会社』では企業の理念があり哲学がある、逆に儲けていない会社や倒産してしまった会社では、単に儲けだけに走ってモノ作りや商売をしている事が多かった。
もちろん、先生の会話の中にもそのような話しが出てきて、自分は単純に「倒産したくなければ経営理念が必要なんや」「そう言えば親父の会社にそんなモン、あったやろか。いやなかったはずだ」・・・「倒産したくなかったら理念」と、最初はなんと"おまじない"程度にしか思っていなかった感じだった。
(次回に続く)
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