代表取締役 湯川 剛

証券会社より、4月上旬に引受審査部より質問が提示され、月内中旬に回答提出し、更に引受審査部との質疑応答。また下旬にはトップ面接実施と今後の予定を聞かされました。
証券会社担当者からは特に引受審査部と社長との面接で、「社長のプライベートも含めていろいろな事が質問されますが、うっかり間違えたり、注意不足で失言等のチョンボはダメですよ」と釘を刺され、何より審査部との面接が株式公開申請の最大のクライマックスであると知らされました。

何かと慌しい中、入社式を終えたと思えば、早や来年の学生募集の企業説明会が開始され、当然の事ながら私は全国の企業説明会に参加しました。
この企業説明会に証券会社の人達も参加するとの事です。あらゆる角度から「OSGとはどのような会社か」「上場させて良い企業か」を判断する為の参加だと聞きました。
「あってもいい」企業は消える。「なければ困る」企業だけが勝ち残る。

求められる事はOSGがこの社会において「なければ困る」企業でなくてはならない事。その為には出来得る限りの努力を惜しんではならないし、また別の意味で第三者の評価を得るチャンスも得た訳です。株式公開実現の合否は、角度を変えて我が社を見つめる良い機会となりました。

会社にはいろいろな問題が発生したり、またそれに対して解決する能力の有無や、開発技術・販路拡大やサービスの充実等の問題も重要だが、最も重要な事はその企業のトップである私自身の経営者としての質の問題に関わる訳です。

私がよく幹部に言う言葉に、「古来より、バカな大将、敵より怖い」というのがあります。トップがしっかりとしなければその集団は弱体化するという事。魚は頭から腐ると言われますが、私は常々トップが組織に影響を与え、ビジョンを掲げ、向上心を怠らず、後姿を全社員に見せる事が出来なければ、トップリーダーではないと思っています。そしてそれが自己採点ではなく、第三者の評価を得る事が出来るという点において、株式公開はまたとないチャンスだと思っていました。

だから審査部との面接は私自身、興味9割、心配1割でその日を持ち望んでいました。
証券会社のスタッフの話によると、身包みを剥され、裸にされる位の厳しい質問もあるとの事前情報もあり、かなり緊張感を煽るような感じがありました。

そういえば私の知人の会社が株式公開をする際に、このトップ面接で大変な質問を受けたと後日談として聞いた事があります。
その社長には奥様とは別に特定の女性がおられ、その女性が会社の中で重要な仕事をされていたそうで、まさにトップ面接で「奥様と離婚して、その女性と結婚するのか」「その女性と別れるのか」という質問があったとか。審査部の調査力もさることながら、かなりプライベートに踏み込んだ質問をするのだなと、感心しました。

私はむしろそのようなリサーチは、して貰った方がいいと思いました。
私はかつて児童施設でのボランティア活動で「1日父親」をやった際に、後日間違った方向で噂が広がった経験をしました。また夜間大学に通っている頃、常にグループ行動であるにも関わらず、一緒に食事をしていたグループの中にクラスメイトの女子学生が含まれていた事から誤解が生じた事もありました。他にクラスメイト達が一緒だったにも関わらずです。いちいち説明するのもバカバカしく無視していますが、はたして今回の「トップ面接」でどのように評価されるのか、楽しみでした。

例えどのような結果が出ても、それを受け止める覚悟はできています。結果が悪ければ、自分に能力がなかったと思えばいいし、精一杯自分の出来る事をこのOSGに1つでも残せればいいと思う一方、株式公開企業に相応しい経営者でないと社員さんに思わせてしまうのは、大変に申し訳ない事だとも思いました。

(次回に続く)

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