代表取締役 湯川 剛

トップ面接が行なわれるのは4月下旬だと聞いていましたが、実際はゴールデンウィーク明けの5月7日となりました。
私は23歳から創業している為、学生時代のアルバイト以外に面接は未経験です。
その為、トップ面接で評価される事にワクワクとした気持ちで、その日に挑みました。

面接会場は、本社10階。
すでに証券会社の引受審査部の方々が6名、待機しておられました。
本社10階は私にとって役員会議を行なっている慣れ親しんだ場所ですが、この日は少々勝手が違っていました。

面接官のリーダーであるK審査部長が、おもむろに口火を切られました。
「ここでの会話は一切口外する事はありません。ですから包み隠さず社長の本音を聞かせて頂きたい。また失礼ながら、我々はプライベートも含めて調査させて頂いています。」
向けられた質問は、「何故、株式公開するのか」「株主に対してどのような考え方を持っているのか」といったいわゆる基本的な質問だけでなく、事前情報通り、かなり突っ込んだ質問もありました。

1つ例を挙げると「もし社長が倒れた場合、誰が次期社長になりますか」というものです。「絶対、外部には口外しないので、我々だけに聞かせて欲しい」との念押しされました。
私は正直、次期社長について考えていませんでした。60歳で社長を辞める事は既に全社員が知っている事ですが、「次期社長」が決まっている話ではありません。
「60歳で社長職を辞める」と社内宣言しただけにすぎませんが、この質問は重要な質問である事に違いありません。
これまで考えてみた事もない質問に対して、安易にその場限りの回答で誤魔化す事は出来ない。外部に口外しないというのだから、テキトーに名前を挙げれておけばいいという話ではない。誠実に回答しなければ「トップ面接」の質が落ちる。
私は素直にそのまま包み隠さず、考えていないと答えました。
「もし社長が倒れた場合、次期社長もしくは社長の代理は誰になりますか」
この質問は、改めて重要な事だと考えさせられました。私の回答に審査部の人は、分かりましたと了解を示され、改めて今後考えておいた方がいいとアドバイスされました。

トップ面接を受けてみて、私は目的が大きく2つある事に気づきました。
それは経営者としての株式公開企業における考え方の確認。そしてもう1つは経営者である私の個人的な資質についてです。
経営者としての基本的な考え方の確認が終わると、若い面接官が「次に社長個人について質問したいと思います。」と言葉を区切りました。面接官達が若干、今までの質問と違った顔つきで私を見ているように感じたのは、単なる私の気のせいでしょうか。

いったいどのような事を調べて来ているのか、大変に興味のあるものでしたので正直
「待ってました」とばかりに気持ちを切り替え、若い面接官の方を見ました。
この審査部と私のトップ面接には証券会社のスタッフが数ヶ月ほど前から「身包みを剥がされ、裸にされる位の厳しい質問もある」とのかなり緊張感を煽るような事を言っていたと前にも述べましたが、それがいよいよこれから始まるのです。

そして若い面接官から向けられた次の質問は、私の想定外の質問でした。

(次回に続く)

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