代表取締役 湯川 剛

海外においては、韓国では更にN製薬を通じて新たな販路を構築していく事で両社間で協議が行なわれました。しかし何といっても市場が大きいのは韓国よりも中国。
私の時間はついつい中国市場に軸足を置くようになりました。OSGにとって初の海外法人の設立ですから尚更です。

5月20日付けで、中国政府より営業許可承認を得る事が出来ました。
当初はT社三愛の資本金は1億5000万円。OSGが60%、T社が40%です。
所在地は以前にも登場した台湾夫婦が経営しているFCPの敷地内です。約3000㎡のレンタル工場を賃貸契約し、生産拠点を確保しました。実際には9月完成予定として、その間はFCPの仮生産場を借りて生産していました。遂に中国国内で生産が開始された訳です。T社の金菫事長が初めて弊社に訪問されてわずか1年余りの出来事です。

本来ならば初の海外法人設立ですので、少なくとも1年前から準備をし、社内で協議を重ねて設立するものだと思います。しかし、あっという間の出来事でした。
中国に生産拠点を設け、工場を設立するというだけでも大変な事業です。
更に工場を建てるだけではダメです。その製品をどのように販売するのか、販売チャネル等の計画を考えるには更に数年前からの準備が必要だったと思います。
ところがT社との出会い。いやむしろ、金菫事長との出会いがたったわずか1年余りで工場を設立し、販売チャネル等、既に出来上がっている訳です。たぶん私の周辺で中国市場に参入した企業で、これ程までのスピード感で仕上げた企業は皆無です。更にFCPとの出会いも生産拠点を決定する大きな要因でした。「人の出会い」とは凄い力を持っているのです。
大手企業同士ならもしかすればこのような事はあるかもしれませんが、いやむしろ大手であればこそ手続き等で難しいかもしれません。
勿論、我々クラスであっても1年余りで実現するのは至難の業だったかもしれませんが、私と金菫事長とのトップ決断がこのようなスピードで仕上げたのだと思います。

さて、FCPで間借りする仮の生産工場で、まず中国合弁会社T社三愛を設立した事で以前の輸入製品(ヒューマンウォーター 略してHU-50)をそのまま中国産化にする事で生産の第一号としました。
何よりも輸入品としての実績が生産する側に安心を与えます。特に中国の水道事情は日本の水道事情とは比較になりません。よって日本で良くても中国で不具合が発生するメーカーは少なくありません。同業で中国に進出し、やはり不具合で困っている企業も少なくありません。
その点、HU-50は中国の水道事情にも適していました。当初、輸入品として中国で使用された時に多くのT社代理店から多くの評価を得ました。「さすがは日本製品」これが金菫事長に自信を与え、「HU-50を中国で生産して欲しい」となった訳です。

製品の重要部分である電解層や精巧品である切替スイッチ等は日本から輸入し、その他の材料は中国で供給されるものは中国で調達しました。こうして第一号製品を生産供給している間にT社から次のような事を要求されました。

T社から「両社で合弁をしたのでそれを記念した新製品を至急開発・生産して欲しい」との事です。やはり輸入した製品は従来商品として、ここは新製品で更に販売に勢いをつけさせたいとの事でした。
私は「当分はHU-50で実績を広めればどうか」とすぐ様の新製品は厳しい旨を伝えましたが金菫事長は「いや、すぐにでも取り掛かって欲しい」との事で、受け付けませんでした。
その背景にはOSGが次の新製品を既にデザインも含め準備している事を聞いたからです。
最初のデザインや設計を起こすなら多分はそれは無理だと思っていたと思いますが、その情報をどこかで掴んだのか、「次の新製品は中国で発表して欲しい」と急がせました。

いずれにしろ、中国で企画され中国で生産された製品を大々的に広めていく為にも従来の輸入された製品の中国生産化製品を、全国のT社代理店に1社でも多く販売して貰わなければなりません。私は出来るだけ早く生産する事を了承し、私はまずは全国の代理店が「アルカリイオン整水器とは何か」を知らせる為に1社でも多く廻る事を金菫事長に伝えました。
そこで私は中国全土に散らばる300店のT社ネットワークを滞在期限ギリギリの15日間をフルに活用し、飛び回っていました。即ち15日間で10~13社のT社代理店を訪問する訳です。例えば、東北から南下する場合、ハルピン・大連・瀋陽・青島など、東北から山東省等を廻る訳です。寝起きするホテルは毎日のように変わります。
全ての代理店を訪問するには計算上では2年はかかります。北京や上海・深セン等の大都市は、数ヶ月に1度は呼ばれますので実質的には3年以上かかる訳です。

そんな中、私と金菫事長との間で代理店向けの機能水研究会を開催する話が持ち上がりました。

(次回に続く)

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