代表取締役 湯川 剛

以前から再三掲載していますが、第5次4カ年中長期計画でOSGは2つの戦略を掲げました。
1つは国境を越えられない企業は生き残れないとして、グローバル化を目指す。
もう1つは事業領域の拡大を目指す。家庭用浄水器・整水器の製造・販売とメンテナンス事業で株式上場を果たせたが、はたしてそれだけでいいのかという将来への展望を考えた時、事業領域の拡大は不可欠だと決断しました。
グローバル化の具体的な行動としては中国に現地法人を設立し、中国全土に販売網を確立させる事で既に動いていました。
もう1つの課題である事業領域の拡大。ここにきて水宅配ビジネスに焦点を定めました。

アクアCと壁一面のホワイトボードで組織図を描きながら会議した3日後の05年2月24日、私は4泊5日のスケジュールで北京に飛んでいました。出張の目的は大きく2つありました。
1つは中国に機能水協会を設立する件、もう1つは中国天然公司の全国の代理店にOSG社員教育を導入する会議に参加する事でした。

北京のホテルで開催されたその会議では、中国保健協会が窓口になって3月28日頃に中国機能水協会(中国名は中国功能水分会)を正式に設立したい事が決定。また6月末から7月初旬にかけて、日本機能水学会の糸川理事長(京都大学名誉教授)や日本の大学教授を迎えての記念セミナーを開催し、中日学術交流会や機能水セミナーを計画。協会事務所や協会のトップ人事等を話し合われました。中国機能水協会のメンバーは当然、中国企業等で構成されますが、外資企業の第1号として天然三愛(OSGの中国法人)は特別に入会する事も決まりました。将来、日本のような産学協同の研究発表や厚生労働省の認可工場の承認までもっていく事が会議の目的でした。ここでもOSGのパートナー企業である中国天然公司(珠海)が大きく活躍してくれました。
このように中国ビジネスのスピード感は、日本の10倍以上の速さで次々と決めていきます。しかも具体的です。このような中国スタイルが私の好きなところです。

翌日、中国天然公司の全国代理店へ向けてのOSG社員教育の導入が決定されました。
北京ブロック・山東省ブロック・江蘇省ブロック・福建省ブロック・重慶ブロック・広東省ブロックの6ブロックに区分けされ、リーダー代理店も決まりました。北京ブロックと重慶ブロックは北京代理店と重慶代理店がリーダー代理店となり、周辺の天津や成都代理店を掌握し、山東省は済南代理店、江蘇省は南京代理店、福建省は福州代理店、広東省は深セン代理店が中心となってOSGの勉強会を本格的に取り入れる事になりました。
各ブロックに40~60の代理店が集まり、1週間2ブロックで勉強会を開催。6ブロックの為、3週間を要する訳です。最初は毎月との中国側の希望でしたが、3週間といえば殆ど中国にいる事になり、日本国内での水宅配ビジネスの案件もあり、2ヶ月で6ブロックの開催に決定。
時間は5時間程度で、内容は顧客管理メンテナンスや販売に対する事が中国天然公司側としての要望でした。勉強会を通じて各代理店と親密な関係を構築する事が中国全土にOSGのネットワークが網羅される大きな鍵となります。

当時の私に課せられた課題は2つ。まさに第5次4ヵ年中長期計画をまずは率先して行なう事です。以前にも述べましたが、私の性格は、全く何もない荒野に枕木を打ちその上に線路を作る事に生き甲斐を感じる事です。それらと取り組んでいる時は寝食を忘れても苦になりません。勿論、休日等も惜しみません。未知との問題に出会った時には苦労しますが、嫌だと思った事はありません。むしろ次の展開にドキドキします。

例えば中国に行った場合、空港に到着した瞬間、中国事業のみに心身とも専念します。
中国では殆ど宿泊先のホテルは毎日変わります。10日間行けば、同じエリアはありません。10日間の下着を持参するのは荷物がかさ張るので数日分しか持って行きません。よって時間があればすぐ洗濯に取り掛かります。洗濯する事も何の苦もありません。そこには闘っている気持ちがあるからです。
逆に日本で仕事をする場合は、殆ど中国事業に関する仕事はしません。こうして私は月のほぼ半分を中国で過ごしている為、国内においても15日間で30日分の仕事をこなさなくてはなりません。15日間の不在は1ヶ月間の決済案件も半月分でやらなければならないのです。
そうなると1年は24ヶ月の感覚で過ごす訳です。多分、私はこの時点でも定年を既に4回くらい迎えている計算になります。如何に1日24時間を濃く使えばかなりの事が出来るのだなと実感しながら飛び回っていました。人生の中身を濃くしてくれます。

同時に矛盾を感じる事もあります。それは、言葉の通じない海外での仕事の方がシンプルに進み、言葉に何不自由もなく住みなれた日本の仕事の方がスムーズに運ばない事に皮肉さと矛盾を感じていました。
事業領域の拡大の具体的な事業として定めた水宅配ビジネス。進むようで進まない。
もしかすれば言葉が通じる分、私が余分な事を考え、複雑にしているのかもしれません。

(次回に続く)

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