代表取締役 湯川 剛

今回も引き続き、中国人ワーカーの人達について書きます。

ワーカーの人達の殆どは、地元の主婦の方々です。小さな子供さんがいるお母さんもいます。食事会を開くとお子さんを連れてこられる場合もありますし、食事会が終わる頃を見計らってご主人が単車で迎えに来る光景もみかけます。そんな時、私はご主人に積極的に話かけるのですが、相手は恥ずかしがりながら、奥さんをバイクの後ろに乗せて帰ります。

また日頃の労を労う為、勤続年数の古い人達を日本観光へ招待する事もあります。ワーカーさん達はその時の為にも・・・と片言の日本語も覚えます。
ワーカーさん達に人気が高いのは、日本の化粧品です。時々開催する食事会でのお土産にしたりしますが、この時は中国人の男性社員さん達も女性の化粧品を積極的に受け取ります。勿論、これは奥さんへのプレゼントとしてです。

ところで不具合の話に戻します。
天然三愛(現、欧愛水基)社内の中でも検討すべきだという声が出てきました。
日本での生産現場において不具合を出せば、大抵は生産側はただ黙って聞くのみです。なので営業部と生産部が話をしても、結局そのような雰囲気なのだろうと思っていました。
ところが天然三愛社内での営業部と生産ワーカーの人達との会議には驚かされました。
天然公司の幹部が不具合の注意を呼びかけた時は黙って聞いていたワーカーの人達が、一斉に反撃しているではありませんか。(私は中国語が分かりませんので、何を言っているのか不明ですが、その雰囲気は凄まじいものです)
若い営業担当の中国人スタッフも中国人主婦には弱く見えて、逆に殆ど反撃しません。
そこで私は通訳に「何故、不具合を出したのに彼女達はあれ程強気の発言をしているのか」とそっと聞きました。すると不具合だけの話ではなく、日頃の営業部との不満がここで噴出しているのだというので、私は笑いそうになりました。どこの国も女性・・・、いえいえ家庭を支える主婦は強いのだと、納得しました。

さて、そんなワーカーの人達と私は不具合についての話し合いをしました。
勿論、誰もが黙って聞いてくれました。うなづくように首を縦に振り、真剣でした。
「主婦なら分かるでしょ。期待して買った商品が動かなくなったらどんな思いか」
みな一様に理解を示してくれました。

その後、中国最大の家電総合メーカーで、今や白物家電では世界有数のメーカーになったハイアール社のビデオをワーカーの人達と一緒に見ました。
ハイアール社は1984年に山東省青島(チンタオ)で青島電氷箱という冷蔵庫のメーカーとしてスタートしました。現在では中国最大の家電総合メーカーであるハイアール社も、過去には倒産の危機に瀕する弱小メーカーでした。この時、ワーカーの人達と一緒に見たビデオは弱小メーカーであったハイアール社が、冷蔵庫の不具合をきっかけに大きく変貌を遂げた事を物語にしたものでした。

 

追記
縁あって日系企業である欧愛水基で働いてくれている中国人スタッフ及びワーカーの人達には、いつも感謝しています。
中国進出から今日までの13年の間には、政治的な問題から中国社会全体で反日問題が数多く起こりました。日系企業勤務の中国人スタッフやワーカーさん達は、彼らの親戚や友人達から日本人の悪評を聞かされているという事を通訳する社員さんから聞いた事がありますが、欧愛水基の中国人スタッフもワーカーさん達も、常に変わらず笑顔で接してくれています。

今年2016年3月の人事で女性スタッフが取締役(菫事)に就任しました。私が強く押した人事ですが、日本の幹部は全員賛同してくれました。

(次回に続く)

ご意見、ご感想は下記まで
support@osg-nandemonet.co.jp