代表取締役 湯川 剛

5月21日の3社合同会議から以降、気分一新。
OSGは水宅配事業参入に対し、新たなスタートを切りました。
私はその間、中国ビジネスの為、海外出張を繰り返しながら首都圏加盟店として具体的に動き始めました。まずはOSG管理職社員さんを首都圏加盟店の責任者に任命。
アクアC社との面談も増えました。面談の機会があると私は、旧アクアCジャパン社の管財人アドバイザーである小早川代表からも話のあった「旧アクアCジャパン社の在庫の引取り」に対し、馬場社長に話をしてみるのですが、返答は相変わらず「それはOSG独自で対応して欲しい」と同じ内容を繰り返すだけでした。
「アクアCブランド」の保護に対して、アクアC社の熱意は感じませんでした。そのようなブランドに対する考え方に多少の不安を感じながら、私は既にアクアCブランドで生きていくと心に決めたので、やむを得ずOSGで対処する事を決めました。

6月24日、品川プリンスホテルにてアクアC社の加盟店会が開催され、OSGも首都圏加盟店として参加。旧アクアCジャパン社には約100社程の加盟店があると聞いていましたが、アタック社に移籍した加盟店とアクアCブランドを継承する加盟店とに二分され、この日の加盟店会には約70社程が参加していました。恐らく新規加入はOSGだけだったでしょう。

はじめにミカンガスがアクアC社の本部になった経緯等の説明があり、更にアクアC本部としての将来的構想等の話がされました。
その後、質疑応答の時間が設けられると一斉に加盟店が挙手。新規加入参加である私やOSG幹部は、その積極的な姿勢と熱意に感心しながらその光景を見ていました。
しかしある意味、傍観者的な立場で見ていた私ですが、その質疑応答の内容に少し驚きました。会場全体の雰囲気が徐々に殺気立ち、質問の殆どが旧アクアCジャパン社に対する不満で、その不満解消が新本部でも対応が出来るのかというものに終始しました。
サーバーの不具合やその対応の遅れ、更にプラントのメンテナンス問題に対する不満等が一気に噴出しているかのようでした。
「我々加盟店の不満を曖昧にして新しいスタートが切れるのか」
「アクアC本部は、その事の責任も継承してこの事業に参加したのか」
矢継ぎ早にいろんな不満が新本部に向けて投げられました。
「元々は我々と同じ加盟店であったミカンガスが、本当に本部として運営が出来るのか」
「LPGが専業であるミカンガスが、水に対してどれ程の認識があるのか」
・・・等、不安視する率直な声が多く聞かれ、そんな鋭い語気で加盟店から向けられる質疑応答の時間は、既に60分を超えようとしていました。

私はこの加盟店会に参加する前は「新しい本部を迎えて新たなスタートを切ろう」という決起大会も兼ねた懇親会的な会合だと思っていました。しかし予想は相反するものでした。
ひな壇にはアクアCの馬場社長やお馴染みの高山支社長らが困惑した顔で座っていました。

同じような質問と同じような回答が繰り返される不毛な時間が60分を超過したところを見計らい、私は挙手しました。
「私は皆さん方と違い、旧アクアCジャパン社を経験していない新入りの加盟店です」
そう簡単に挨拶をして、この60分間のやり取りで感じた事を率直に話しました。

「旧アクアCジャパン社に対して不満がある事は理解しますが、その不満をミカンガスさんにぶつけてどうするのですか。むしろ皆さんはミカンガスさんにお礼を言わなきゃならないのではないですか」
「アクアCブランドを守ってくれたのは、ミカンガスさんですよ」
一際大きな声で言いました。

すると突然、大きな拍手が起こりました。私自身、その状況に驚きました。
参加した約70社の全加盟店が不満を言っている訳ではありません。不満を述べていたのは、多くても約2割程度の加盟店だけです。
私は発言後、ひな壇に座っている馬場社長や高山支社長へ目を向けると、安堵の表情で軽く頭を下げるしぐさを見て、少しは手助けが出来たのかと感じました。
その後、続いて行なわれた懇親会では殆どの加盟店オーナーが私のところにやって来ました。「よく言ってくれました。これで安心して新生アクアCブランドで仕事が出来ます」
「OSGさんと情報交換をしていきたい」
中には厳しく質問していた加盟店の方も私のところに来られ、名刺交換。
「これからもいろいろ交流したい」と言って下さいました。

色々な問題があるにしろ、本部と加盟店がいがみ合っていては絶対に上手くいかない。
それが私の考え方です。実績のないベンチャービジネスにおいて、殆どの業界は不備であり不満足であり、不確実さは付き物です。そんな実績のないベンチャーな業界が嫌であれば、旧態依然とした既存の業界でビジネス展開すればいい訳です。ベンチャービジネスは、この不足部分をカバーする事により、新たな市場獲得の可能性がある事が何よりの魅力なのです。
実績がなければ納得しない。整備していなければ納得しない。確実でなければ納得しない、という経営者であれば、それはもはや新ビジネスに参入する資格はありません。
そのような意味から言えば新生アクアC社は、本部と加盟店が一体となって初めて前進するのです。本部と加盟店がいがみ合っていては前に進むどころか、それは消滅以外の道はありません。そういう意味で今回の加盟店会は、まずは「本部と加盟店が一体」が大きなテーマであったと思います。
新たな一歩を踏み出そうとしている新生アクアC社の加盟店会に、少しはお役に立てたのかなとの思いを胸に抱きながら会場を後にしました。

しかしその4日後、思いもかけない出来事が起こりました。まさか・・・。

(次回に続く)

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