06年2月。新年度第37期が始まりました。
1月決算なので、お正月気分はなかなか味わえず、2月1日のほんの僅かな時間だけが、1年の内でホッとする時間ですが、それでも新年度スタート月は新たな緊張感が走ります。

この2日前の1月30日に弊社所有の大阪市内にある物件を売却しました。全ては新事業水宅配ビジネスに対する準備ですが、心なしか寂しい気持ちになりました。次なる投資の為にやむを得ないという気持ちもありましたが、この不動産を購入した時にはそれなりの思いいれがあった訳です。この土地にビルを建てた時の地鎮祭での風景は11年経った今でも目をつぶればありありと思い浮かびます。その物件を売却してまで新事業に投資をするという程、水宅配ビジネスにはそれなりの思いがあったという事です。

話は変わりますが私は不動産を取得する時はいつも、そこに本業としての利用を考えて購入する訳です。未だかつて不動産を購入する際に売却して収益を上げよう等と思った物件は1軒もありません。不動産の売買収益で利益を計上しようという認識はない訳です。全ては事業から生み出す収益以外、私には全く関心がありません。
知人の中には本業で儲ける収益も、いわゆる土地を転がして儲ける収益も同じではないかという意見もありましたが、私には賛同できない考え方です。
不動産を取得する場合、そこに利用価値があるから購入する訳です。

かつてバブル崩壊のきっかけとなった1990年に、当時の大蔵省が金融機関に行政指導した総量規制。この総量規制の対象となる企業とは何の関係もない我社にもかなりの貸し渋り、貸し剥がしがありました。この時、「OSGさんが所有している物件を1軒でも売却して貰えれば新しい融資は出来る」と言われた時も「会社所有の物件は意味があるから購入した」といい、私は自身の自宅を売却する(第119回掲載)と言ったくらい、会社所有の物件には愛着がありました。

この大阪市内にあるこの物件には数多くの思い出がありましたが、その思い出を捨ててまで売却しよう決断したのは、次のような理由がありました。
① OSGは過去に自社物件や社屋建設や工場建設の土地購入などを除き、一括で数億円以上に及ぶ設備投資をして取り組んだ経験はなく、それだけに「愛着のある不動産まで手放した」という犠牲を払ってまで新事業に挑もうという強い気持ちが必要だったこと。
② 上場以来、一度も増資をした事が無かった為、この機会に増資を検討してみてはどうかと役員の一部から声も上がったが、当時の株価に不満があり、安易に増資へ踏み切れなかった。

いずれにしろ、愛着ある不動産を売却する事により新事業へ一層強く思いを込めた訳です。
ちなみに現在(2017年2月10日)まで、OSG所有の不動産売却はこの物件が唯一の事例です。

新年度初日、2月1日(水)の日記に「数字に強くなれ」と記されていました。
①利益は余剰金でなければ、特別なプラス的金額でもない。
 利益とは全ては会社維持費である。利益が無ければ会社は維持出来ない。
 利益があればこそ、会社は維持出来る。
②目的と目標と手段を履き違えるな。
 目的はOSGの理念を具現化する事であり、利益を上げる事ではない。
 目標は利益を上げる事であって売上を上げる事ではない。
 利益率や経費コストも総合的に考える。手段は幾通りもある
③データを取れ。前年比やマンパワー等、データに基づいて話す。数字で語れ。

新年度スタートにおいて、改めて基本的な事を書いたのだと思いますが、その日に何故このような事を書いたのか、日記から今は分かりません。

(次回に続く)

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