05年の年末にカリスマファンドマネージャーとしてマスコミでも活躍する藤本さんの紹介で、同じくテレビ・新聞で顔なじみの石塚さんらと出会い、新事業は更に前進しました。
1月から2月にかけて水宅配事業の会社設立に対して、私は今まで以上に動きました。
何よりもまずプラントを建設する必要がありました。勿論、サーバーやガロンボトル、更に契約書等の準備から加盟店募集の資料等、やらなければならない事が山積していました。
新事業を行なう際に「2つの戦略」を打ち出した事で多少動きやすい面はありました。

改めて2つの戦略について説明します。(第307回に掲載)
1つは「同質化戦略」です。
同質化戦略とは、先行企業が持つノウハウを模倣・活用し、それらに時間とコストはかけないやり方です。つまり先行企業が立案した内容に対して、改めてウォーターネットがゼロから取り組む事はしないという事です。
しかし、それだと単に真似をしただけの企業、いわゆる二番煎じの企業だと言えます。
それでは先行している企業には追いつく事は出来なし、独自性を出す事は出来ません。
そこで2つ目の戦略となるのが「差別化戦略」です。
水宅配事業のようなストックビジネスは、先行企業が優位である事は間違いありません。しかし先行企業にも強みばかりではなくアキレス腱もあります。その弱点とは、引き返せないという事です。ここに私は目を着けました。それがプラントです。このプラントに圧倒的な差別化を図るという事です。

資本金は3億円としました。OSGが80%を出資、20%を藤本さんが経営するR社と石塚さんらが経営するK社が出資する事になりました。
社名は「ウォーターネット」と決定。本社の所在地は、藤本さんが経営するR社と同ビル内の1室を借りました。しかもR社の隣です。
ロゴマークも決まりました。「水」とアスタリスク「*」の形状が似ている事からウォーターネットのロゴマークに採用。社名とロゴマークは石塚さんらからの提案でした。
石塚さんの話によると社名やロゴマークは、Wieden + Kennedyのというニューヨークに本社がある広告制作会社だと聞かされました。そのようなセンスはOSGよりも彼らの方に任せた方がいいという事で、全面的に受け入れていました。
石塚さんによるとWieden + Kennedyはナイキをはじめ、有名企業のネーミングやロゴマークも制作しているという事です。

ところが後日、ロゴマーク等の請求書を見て私は驚きました。OSGも社名や製品にロゴマークがありますので、大体の費用は予測していましたが、過去に経験した事のない程の多額の費用でした。石塚さんらの世界ではこの金額が基準なのか分かりませんが、決まった後の請求書を見てため息が出ました。それなら「ウォーターネット」のネーミングとロゴマークに対し、何としてもナイキのような有名な企業に育てないと割が合わないなと、変なところで業界ナンバーワンのモチベーションを上げていました。
ウォーターネットの社員さん達は「水宅配ビジネスはウォーターネットという社名でロゴマークがコレです。これはニューヨークにあるWieden + Kennedyに制作してもらいました」と少し誇らしげに言っていましたが、後々調べると本社はニューヨークではなく、オレゴン州ポートランドでありニューヨークは支社と判明。更に依頼したのは東京支社でした。

(次回に続く)

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