痛飲した夜から5日目に大阪から珠海の金鋭氏と電話会議をしました。
「湯川兄弟の提案に甘えて天然三愛に就任する方向で決めようとしているが、天然社からの法的な問題があれば厳しい。いずれにしろ1ヵ月後の3月11日までに方針を決める」との事でした。私も金鋭氏が天然三愛(現 欧愛水基)に入社すれば、中国市場への影響は計り知れず、ライバル会社等との提携等も活発化する狙いもありました。大物の入社は安易なコストでは迎えられる訳でもありません。勿論、天然社の全てを知っている人物なので、天然社は猛反対する事は間違いないという認識もありました。いずれにしても違法であれば、この案は立ち消えになります。
当時の日記に「人生の選択。決断を要する。天然三愛は伸るか反るか(のるかそるか)賭けてみる」と書かれていました。かなりの決断が要した事を日記が物語っています。
結果的には法的な問題もさることながら、案の定、天然社が猛反対。やはり実現には至りませんでした。金鋭氏が天然社を去りその後、林菫事長も去り、新しい菫事長が就任しました。新菫事長はビジネス界には全くの素人なのか、前任の林菫事長と同じく投資家出身という事です。話によると天然社の大株主であったタイのアパレル経営者の株が、中国広州に幅広く不動産業を経営しているオーナーに譲渡されたということです。その不動産オーナーから派遣された投資家が、天然社の菫事長になったのです。
天然社では毎年、中国名山と言われる場所で全国代理店会議があります。2泊3日の合宿方式です。07年は張家界で行なわれました。張家界は湖南省の北西部に位置し、武陵山脈の険しい峰が連なる絶景です。遠い代理店なら2泊の時間を費やしてこの張家界に集まります。
全国の天然社代理店の参加者では社長夫婦が参加したり、幹部同行で参加する社長もいて、その参加数は500人以上。しかし全国300の代理店を作った金鋭創業者は、この会議には当然参加していません。次々話をする天然本社の幹部や主要代理店の経営者は、誰一人「金鋭」という名を発しませんでした。天然本社の新しい菫事長に気を使っているのかもしれず、またそれぞれの自代理店の経営をどうすれば良いのかを考えるのに必死で、金鋭の事を考える余裕もなかったでしょう。私がスピーチする順番がやってきました。私は中国語が出来ませんので、中国OSGの社員さんが通訳をしてくれました。
「皆さん、毎年、中国の名山と言われる場所でこのように全国代理店会議が今年も開催され、また私もご招待頂き、心から感謝します。そしていつも弊社の製品を取扱って頂き、改めて感謝します。衛生部ショックから2年が過ぎ、代理店が大きく2つに分かれました。それはまだ衛生部ショックから立ち直る事もなく現状維持もしくは縮小傾向にある代理店です。片や衛生部ショックから学び正しい知識を習得し、更にお客様に製品の必要性を訴え、会社を大きくされている代理店もあります。それはどの代理店であるか、皆さんは既に知っている事です」
(この後、代理店の経営者としての考え方や心構えを話しました。たまたま今回、衛生部ショックに遭遇したが、今後も会社を経営するならこのようなネガティブな出来事と出会う事はある。問題は、そんなネガティブな出来事とどのように向き合うか。それはトップの心構えが多大に影響し、重要であるといった内容の話を私の経験を交えてスピーチしました。そして次のような話をしました)
(次回に続く)
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