代表取締役 湯川 剛

06年3月に第1号 川越プラント。同年4月に第2号 大阪中央プラント。
07年2月に第3号 仙台プラント。同年7月に第4号 四国中央プラント。
08年2月に第5号 西埼玉プラント。
そして同じ年の5月に本日お話しする6番目の三重県 亀山プラントが出来ました。
こうしてわずか2年間で6か所のプラントが建設された訳です。
以前にもお話ししましたように製品水を供給する設備がなければ、このビジネスは成り立たないのです。当初は川越プラントが東日本をカバーし、大阪中央プラントが西日本をカバーするという輸送費の採算無視の中で開始した事業です。この事業程、初期投資が莫大に必要な事業もありません。そんな中で東北や関東、そして四国・中国や東海・関西と少しずつですが輸送範囲を狭めていきました。そのひとつひとつの建設誕生の思い入れは、決して立案プランでは計り知れない人の出会いと運命を感じ得ない訳ではありません。
JF社との出会いも含めて、それぞれに思いはある訳です。しかも強烈な経営者との出会いです。何故ならばそのような性格の経営者であればこそ、莫大な投資の決断と新事業への参入決断をされる訳です。

ここで少し専門的なマーケティングについて説明したいと思います。
当時の水宅配はまさにベンチャービジネスです。ベンチャービジネスとは時代の極めてフロンティアな領域にあります。つまりまだ実例のない製品や市場でのゼロからの事業活動という事になります。ひとつの市場カテゴリーの立ち上がりのステップはマーケティングの世界では「テクノロジー・サイクル」として時間順にその表現が変わります。
まずは【テクノロジオタク】と称する人(企業)が出てきます。いわゆる最初に最先端の実験的商品を買うのは新しもの好きの変わり者と称されます。1980年に携帯電話を持った人がそれに当たります。
次に【ビジョン先行派】と称する人(企業)です。実験的製品が少しずつ市場に普及されていく訳ですが、まだ初期の時です。いわゆる初期市場の段階です。この時に製品を扱ったり購入する人達は「少々難があっても未来を手にする」というリスクを持ちながら未来にたしかな市場あると決断する訳です。

当初、プラント建設を決断されたオーナー達はこの分野【ビジョン先行派】に属します。

さて、亀山プラントに話を戻しましょう。
亀山プラントを運営するのは「ウォーターネット三栄」と社名の通り、3社が共同出資してのプラント建設であり、3社で運営されています。エリアは滋賀県と三重県・奈良県をカバーする中間地点として鈴鹿サーキットの近くの三重県亀山に建設されました。
3社合弁会社は本来なかなか難しい運営と思われがちですが、3社はプロパン業界にて30年以上の付き合いがあり、既に「鉄の結束」は出来上がっていました。しかも三社三様の持ち味があって、3社の中心的存在として中島商事(滋賀)の中島会長が就任されました。
中島会長の強力なリーダーシップの下、3社合弁企業による周囲の不安は全くの取り越し苦労でありました。更にこの3社合弁の強みは後の2社である石井燃商(三重)故石井会長や大和協同ガス(奈良)林社長の存在です。それは中島会長を中心とした立場を貫いている事です。とても素晴らしい事だと思います。昔からの諺で「船頭多くして船山に登る」の例えの通り、指図する人が多い為に統一が取れず現場が混乱する場合がありますが、故石井会長や林社長が立場をわきまえている事に感心します。

さてこの3社のリーダーである中島会長の水宅配ビジネス参入の動機は明確です。
95年に起こった阪神・淡路大震災に対しての考え方です。中島会長は折に触れて『阪神大震災の時に如何に人間にとって「水」がどんなに大切かを改めて認識した。今後益々震災は増えていく。地域の方々の命を守る。大切なお客様の命を守る。社員の大切な命を守る。その為に水宅配ビジネスのプラントを建設する』と参入の動機を明確に話されます。それも一度二度ではなく会合の折に触れ話される訳です。中島会長は外見も人柄も豪快ですが、非常に正義感が強く繊細です。
中島会長との出会いではいろいろな事を教わりましたが、水宅配ビジネスの本来の目的について改めて「震災での対応」を学びました。
なんとプラント建設から3年後の2011年にあの東日本大震災が起こる訳です。
JF社プラント建設から1年後の出来事でもあります。

さてそれぞれのプラントオーナーは、お元気で現在も私自身、大きな刺激を受けています。大阪中央プラントの鈴木社長は82歳です。仙台プラントの菅原会長は69歳です。
四国中央プラントの鈴木社長は79歳です。西埼玉プラントの鈴木会長は71歳です。
亀山プラントの中島会長は82歳です。すごいですね。菅原会長が若く見えます。

強力なリーダーの下、このベンチャービジネスが成功する訳ですが、改めてWNの草創期に素晴らしい仲間達の出会いに感謝します。

次回から久しぶりに中国ビジネスについてお話しします。今から10年前の09年時代の出来事です。この「人生はプラス思考で歩きましょう!」では半年ぶりの掲載です。

追記
もう一度「テクノロジー・サイクル」の話に戻します。
【テクノロジオタク】→【ビジョン先行派】、ここまでが初期市場です。先ほど述べましたように5人の経営者は全てビジョン先行派経営者です。

テクノロジー・サイクル

(次回に続く)

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