代表取締役 湯川 剛

天然社の約300の代理店に横やりを入れる金鋭氏のやり方に各代理店は思わぬ〝化学反応〟を起こす訳です。それまでの代理店は天然社以外からの製品を販売してはならない鉄則がありました。さらに代理店の経営者は「金鋭董事長に育てられ、更に社長にまでしてもらった」という恩義があり、天然本社と代理店とは強い岩盤のような一枚岩の関係でした。製品は全て天然本社から仕入れる。その事に何の違和感もありません。

天然本社の製品はほとんどがOEM製品で、中間搾取があっても何の不満も代理店は持っていませんでした。金鋭氏の会社からの売込みをされるまでは・・・。

しかし大黒柱的存在の金鋭氏が外れ、更に金鋭氏自身が「天然製品と同じような製品で価格が安いから私の会社から仕入れるように」という呼びかけは代理店社長に様々な思惑を生んだのです。もう金鋭氏不在の天然本社への義理立てはしなくていい。製品も他社からとっても構わない。そのような流れが一気に出来てしまいました。
広大な中国全土に広がる300の代理店を管理する力は、既に天然本社にはありません。

「メーカーと直接取引した方が得策だ」と代理店はそれぞれ、健康食品メーカー等と競って取引をするようになりました。一枚岩であった天然本社の代理店同士でも「発売元」の権利を取る為に競い合い、反目する代理店同士が各地で生まれました。
そんな流れから天然本社の有力な代理店から欧愛水基に「我々と直接取引しないか」と連絡が入ってくるのに、それほど時間は要しませんでした。皮肉な事に天然本社が危惧していた事が起こりかけていた訳です。300の代理店をバックに販売力を要する天然本社に匹敵する代理店は当然皆無であり、安易に「代理店との直接取引」の話には乗るわけにいきません。しかしそれを一歩動かずきっかけを作ったのも天然本社自身の行為でした。

発売元としての義務を果たさなくなった天然本社は製品「A-50」の販売権利だけは常に振りかざしていました。また欧愛水基も金鋭氏不在の天然本社であれ、中国進出の恩義があり、他社に販売する事は契約上、それに従っていました。しかし度を超す「出荷コントロール」に対し、欧愛水基は反発を感じることになるのです。
そのような折、1年前より開発していた新製品の目途が立ちました。仮に「B-50」としましょう。本来であれば天然本社の「A-50」に代わる「B-50」の新製品となる訳です。
この新製品「B-50」を天然社以外の販売ルートで発売する事に決めました。
ご承知のように、メーカーの立場でありながら、中国進出以来300の代理店に直接訪問していた事はこの「人プラ(人生はプラス思考で歩きましょうの略)」で掲載済みです。
更に〝お客様訪問〟として、代理店のユーザー宅まで訪問していました。私は代理店の社長は殆ど顔見知りになっていました。ファンド出身の天然本社のトップは、逆に代理店社長との面識はありませんでした。欧愛水基の製品を「直接取引したい」という代理店は多数いますが、さすがに1代理店が「OEMで直接取引したい」という代理店は現れないだろうと思っていました。OEMを実現するにはかなりの数量を取らなくてはならないからです。そんな時、山東省のある代理店から連絡がありました。

(次回に続く)

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