代表取締役 湯川 剛

当時の日記には「2009年9月9日9時9分、私達は大きく変わる!北京の5日」がその日の見出しでした。中学生時代に観た映画「北京の55日」ならぬ「北京の5日」です。

9月7日、北京東方花園ホテルでは15時から中国保健協会 張理事長・徐秘書長や日本から元厚生大臣らが集まり、科技日報主催の「中日飲料水文化交流研究検討会」が開催されました。この時の記事は9月9日に開催される中国国際保健博覧会に合わせて発行されました。科技日報の紙面には中国疾病コントロールセンターの李主任や中国農業大学 李教授、そして日本機能水学会からも寄稿文が掲載されました。

同日夕刻に、中国国家体育局からの迎えの車で訓練局に移動。国家体育局 孫副局長の段取りで中国国内では誰もが知っている有名選手の金メダリスト 郭晶晶選手らとも記念撮影のチャンスも頂きました。孫副局長に連れられドイツビールパブで徐秘書長らと痛飲。
この席上で副局長に「11年に日本でOSG創立40周年の記念式典を開催するので是非参加して欲しい」と依頼しました。「私達のような政府関係者は日本のように簡単に海外に出られないが、何とか調整してみる」との事でした。孫副局長は中国国家体躯局の将来のエースと言われていました。彼とは知り合って1年余り。勿論、お互い言葉が通じないという事で通訳を介しての会話でしたが、実はこの時、彼はかつて大阪大学に留学し、日本語は全て理解している事がバレてしまい、すっかり1年以上、騙されていました。
でもナイスガイなので許せます。むしろ1年以上、言葉を交わさなかった方が大変だったでしょう。

翌日9月8日 午前11時。中国国家体育局のオリンピック強化選手の食堂にOSGのアルカリ自販機の設置セレモニーが開催されました。ここにも有名なオリンピック選手が多くいましたが、私は余り分からず、欧愛水基の中国社員さんらが興奮していました。例えていうなら水泳の北島康介選手や女子レスリングの吉田沙保里選手がいるような感じです。

9月9日。中国国際保健博覧会が北京で開催されました。中国保健協会の徐秘書長のアイディアで09年9月9日9時9分にテープカットが行なわれました。多数のマスコミ関係者が集まりました。日本からは元厚生大臣と私も参列しました。
この博覧会には欧愛水基も出展。欧愛水基ブースでは新製品「B-50」を中心に欧愛水基の製品をはじめ、日本からOSG製品も展示されました。天然社の代理店も多く出席してくれました。夕刻には欧愛水基主催のパーティが開催され、中国保健協会理事長で前衛生部副部長(日本でいう厚生副大臣)も参加してくれました。この時、日本式の鏡開きも採用され、日本から持参した半被が大変な人気でした。

9月10日。中国老人健康保健協会会長と面談。初代会長は中国衛生部長で日本でいう厚生労働大臣にあたります。これからの中国市場は高齢者市場でもあり、中国国家は高齢者問題と取り組むとの事でした。日本では認知症での徘徊問題や奇声問題と飲料水との関係等、私とは「高齢者と脱水症状」に関する意見交換をしました。

実はこのように科技日報主催の「中日飲料水文化交流研究検討会」開催や中国体育局の自販機設置や中国保健協会博覧会の出展、更に中国老人保健協会との面談の準備等は、全て金鋭兄弟の手配によって実現していた訳です。日本人である私や欧愛水基の中国人幹部スタッフだけではこのようなネットワークは作れませんでした。以前にも金鋭兄弟に対しては個人的な関係で「兄弟」と呼び合う仲でも、公私を完全に区別してやろうと言いました。すなわち仕事は別だという事で、金鋭氏が設立した会社への取引も天然社との関係で一線を引いていましたが、このような間接的な形で協力して貰っていました。

5日目の9月11日。この日は中国国際保健博覧会のOSGブースに参加してくれた各代理店にお礼の電話をして、これからの欧愛水基の方針を簡単に説明しました。
ここで各代理店社長から次のような話がありました。
「実は9月9日に中国国際保健博覧会会場周辺で天然社本社主催の会合があり、欧愛水基のブースやパーティには参加するな」との事でした。すなわち例の弁護士董事長が圧力を掛けてきたという事です。最初は強気な発言で「欧愛水基のブースやパーティに参加するなら取引を見直す」との事でしたが、途中から「ぜひこちらの会合に参加して欲しい。もし社長がダメなら代理でもいいので会合に参加して欲しい」との事で、結果的には4社程が天然社の会合に参加したとの事でした。

「北京の5日」すなわちこの5日間で、天然社と代理店との力関係が更に弱体化している事が分かりました。しかし天然社が厳しい状況と同様に、欧愛水基も厳しい状況の中にいる事は間違いありませんでした。

かつて金鋭天然社時代との蜜月関係にあった欧愛水基はどうなるのか。
欧愛水基に支払うべき売掛金を「凍結」した天然社はどうなるのか
異国の地で欧愛水基は、この先、どのように前に進むのか。それとも撤退するのか。

(次回に続く)

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