代表取締役 湯川 剛

『40周年式典を終え、この大きな節目に私は「お客様訪問」を行ないたいと思いました。
中国では既にお客様訪問を行なっているのに、日本のお客様に対しては「お客様訪問」を行なっていないのです。私は「お客様訪問」を通じて「原点に立ち戻りたい」という気持ちにかられました。
ところが「お客様訪問」は、なかなかスムーズに受け入れて貰えませんでした。
お客様の立場になれば、よく分かります。それでも浄水器のカートリッジ交換を担当している社員さんにお願いして「10人でも20人でもいいので行きたい」と無理を伝えました。ただただお客様に会いたい。その一心でした』(第408回 2019.09.10掲載より抜粋)

こうして、2011年3月9日よりお客様訪問が開始されました。
この日を迎えるにあたり、カートリッジ交換担当の部署責任者を大変困らせたと思います。
お客様側の立場に立ってみれば「なんで会長が来るの?」と思われたに違いありません。
例えば、台所で東京ガスの給湯器を使用しているので、東京ガスの会長が訪問したいというような話です。(東京ガスのような有名な会社なら大歓迎かもしれませんが・・・)
いずれにしろOSGとは、あくまでも製品を通じてのお付き合い。お客様としてはそれ以上の感情があるとは思えません。まして迎える側としてはそんな簡単なものではない筈です。

中国での「お客様訪問」はどうだったのでしょうか。
中国でお客様訪問を行なった際には、代理店での話では「会長が来るので応接セットを一式新品に取り換えた」という事例もあり、恐縮しました。また中国らしく「遠方より友来る」とばかりにお客様の親族総勢50人くらいで出迎えて貰った話もあります。中国ではこの「お客様訪問」は各代理店にとって大変好評な企画で、次から次へとお客様訪問の依頼が舞い込んできました。しかし今回は日本での事です。中国と同じ次元である筈のないのです。

またお客様だけでなく、そのセッティングに働いた社員さんも大変だったと思います。
「お客様訪問」とは聞こえがいいが、もしかすると会長の自己満足であり、担当者は大変迷惑な話であったのではないかと思います。
そんな複雑な思いがお客様訪問初日の3月9日の朝を迎えた時に、私の心の中にありました。社員さんが運転する軽自動車の助手席に私は座りました。これも大変だと思います。
まず社員さんの第一声が「軽自動車ですみません」。この事自体が社員さんに気を使わせているのです。私は「なんで。私も昔から軽自動車に乗ってカートリッジ交換していたので懐かしい感じや。今の軽自動車は性能がいいが、昔は少しガタガタやったな。でもこのガタガタが好きなんや。一生懸命走ってる感じが好きなんや」そんな話をしたと思います。社員さんが「本日はよろしくお願いします」で、本社からお客様宅に向かってスタートしました。会長がいるだけでカサ高い存在なのに、それが助手席に座っている。運転する社員さんにとって恐らく大変緊張しながら運転していただろうと思います。幸い、通常でも会えば声を掛け合っていましたし、奥さんと食事をした事もあり「タカちゃん、元気か?」と車中では極力、仕事の話を避け、笑いを絶やさないように心がけました。

こうして私が会長職となって日本での初めてのお客様訪問の初日を迎えました。

さて、どのようなお客様宅でどのような事態が起こるのでしょうか。

(次回に続く)

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