毎年、全社員に「LMPノート」を配布するようになって、かれこれ30年以上が経ちます。(第109回 2009年7月1日掲載参照)
2015年版のLMPノートが配布されると私は「電通鬼十則」を印刷し、6穴のシステム手帳仕様に加工しバインダーに収めました。
「電通鬼十則」とは、最大手広告代理店の電通の社内行動規範です。これはかつて「広告の鬼」と恐れられた電通四代目社長・吉田秀雄が遺した仕事の掟・十ヶ条であるとも言われています。1951年(昭和26年)に電通社員に向けて作られ、多くの企業にも知られました。日本の高度経済成長期に多くの営業マンのバイブルとして愛用された「鬼十則」ですが、この1年後、電通の若い女性社員の痛ましい出来事から批判の的となりました。長年「鬼十則」を愛用していた私はショックを受けました。やはり時代の変化がこの「鬼十則」の内容を許さないのでしょうか。
私が20代の頃、この「鬼十則」の一字一句に勇気づけられました。2015年と言えば、私は68歳です。68歳においても大きな刺激を受けました。
ここに改めて「電通鬼十則」を掲載します。
第1条 | 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。 |
第2条 | 仕事とは先手先手と働き掛けていく事で、受け身でやるものではない。 |
第3条 | 大きな仕事と取り組め!小さな仕事は己を小さくする。 |
第4条 | 難しい仕事を狙え!そして成し遂げるところに進歩がある。 |
第5条 | 取り組んだら放すな!殺されても放すな!目的を完遂するまでは・・・。 |
第6条 | 周囲を引きずり回せ! 引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きが出来る。 |
第7条 | 計画を持て! 長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と そして正しい努力と希望が生まれる。 |
第8条 | 自信を持て! 自信がないから君の仕事には迫力も粘りも、そして厚みすらがない。 |
第9条 | 頭は常に全回転、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ!! サービスとはそのようなものだ。 |
第10条 | 摩擦を怖れるな! 摩擦は進歩の母。積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。 |
何十年経っても私にとっては刺激を与える言葉です。
しかし、この「鬼十則」が時代の流れに受け入れられなくなったのでしょうか。
「鬼」という言葉が受け入れられないのでしょうか。
「鬼の指導者」や「仕事の鬼」は、もはや死語の存在なのでしょうか。
また第5条の「取り組んだら放すな!殺されても放すな!」や第6条「周囲を引きずり回せ!引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きが出来る」が今の時代には受け付けられない言葉になっているのかもしれません。それは言葉自体からくる印象でしょうか。
私はこの「鬼十則」を上席管理職社員さん達にも、LMPノートに綴じられる様に加工したものを配布しました。私の当時の日記に次のような文章が書き残されています。
「中国指導者である鄧小平は、3度も失脚を経験し、その後、副首相として中央政権に復帰。
73歳から89歳までの16年間に今日の中国の繁栄の基礎を作った!!」と書いています。
1月15日、誕生日の日記です。68歳の誕生日に何か思ったのでしょうか。
鄧小平から見れば、まだまだ小僧扱いですが2015年も私自身がやらなきゃならない使命があるのでないかと、誕生日に「鬼十則」を改めて見直しました。
特に第1条の「仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない」が好きな言葉です。
いや、第2条も第3条も好きです。いやいや第10条まで全てが納得します。
私の人生訓であり、私が仕事に悩んだ時などの教科書です。
OSGの社長の座から離れて8年。「社長・会長完全分理」で私の使命は「OSG未来ビジネス」を担当した訳ですが、何か今一つ「やり切った」という強い満足感が心の奥底になく、モヤっとしたものがありました。
(次回に続く)
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