代表取締役 湯川 剛

毎年恒例の冬合宿から「第9次4ヶ年計画」が始まります。この年の冬合宿のゲストに杉浦貴之氏を迎えました。杉浦氏との出会いは「OSG文化遺産」の一つ、ホノルルマラソンです。第470回(6月1日掲載)でがん患者の人達とマラソンに参加しているという話は以前したと思います。

私はホノルルのラジオ番組で杉浦氏の事を知りました。
その翌月、すなわち2016年1月29日に杉浦氏と名古屋で面談する事になりました。ラジオを聞いたのが、ホノルル時間の15年12月12日ですので、40日足らずでお互い知らない者同士が、しかも異国のラジオ番組を通じて知り合うとは、まさに「人生は出会いだな」と感じます。
彼は45歳。私とは親子のような年の差です。約1時間30分の間にいろいろな話をしました。
なぜ、がん患者の人達と過酷なフルマラソンに参加するのか。多分ラジオ番組で聞いた内容でしたが、改めて質問しました。

テストに落ちない為に勉強するのはダメなのと同様、病気を治す為に治療しているのではダメ。病気を治した後、どのような生活をしたいのかとイメージや願い、更に祈り続ける事が大事です。自身ががんに侵された時に「必ずがんを克服して、ホノルルマラソンを走る」というイメージを思い続けていました。思いの脳は、過去も現在も未来も区別がつかないようです。だから辛い過去を持っていると現在も辛く、そして未来も辛くなります。強烈な位に臨場感溢れるイメージを細胞60兆に向けて送り出す。60兆の細胞には意識があると聞いた事があります。その意識の中に何を指令するかが大事であり、細胞はその持ち主の指令を待っているのです。がん患者の人は殆ど、自分が「マラソンに出場する」等、夢にも思っていません。この想定外の事をやれたら、本人には大きな自信につながります。チャンスはピンチの顔でやってくるのです。』
大体、このような内容でした。

日常、私が社員さん達にしている話とあまりに近い内容であり、わずか1時間30分程の面談でありましたが、杉浦氏の思考として物事の捉え方がどこまでも前向きである事に感銘を受け、まるで旧知の間柄のように意気投合しました。
私は過去に「人命」に絡んでの考えで仕事をしてきた事はありません。
また、この杉浦氏の考えに、異論を唱える人もいると思います。勿論、彼はマラソンを走る事でがんを治療が出来るとは言っていないのです。しかし命と向かい合わせにいる人に「希望」や「目標」を持たせる事は、がん治療の一部にある免疫力アップさせる事はよく知られています。

私は杉浦氏に、急な話ですが・・・と前置きした上で「1週間後の2月6日のスケジュールはどのようになっていますか」を確認しました。「2月6日は空いています」という彼の返事に「急なお願いですが、OSGの合宿に参加して貰えないか」と、この冬合宿のゲスト参加が実現しました。
合宿初日の夕方の「翔け野鴨勉強会」という本来は私が担当する時間を彼に任せる事にしました。

合宿参加者の前で杉浦先生は、アントニオ猪木の「元気ですか~!元気があれば何でも出来る」のフレーズをもじって「便器ですか~!!便器があればウンチも出来る」とアプローチ。そういえばホノルルマラソンの参加者の人達への挨拶に「アロハ~」を「エロハ~」とラジオで言っていた事を思い出しました。話は約90分ですが、大成功でした。

第9次4ヶ年計画のスタートに相応しいゲストだったと思います。
何よりも「強烈な位な臨場感を持ったイメージを持つ」は私と杉浦氏との共通用語です。

 

【追記】
その後、杉浦貴之先生とは、OSGの新入社員教育や加盟店オーナー会でのゲスト講師として、何度も参加して頂いています。

ここで、杉浦 貴之 氏のプロフィールを彼のホームページより掲載します。

1971年愛知県西尾市生まれ、岡崎市在住。
1999年28歳のとき、腎臓の希少がん(肉腫)宣告。
腫瘍は巨大で悪性度が高く、両親には「早くて半年 、2年後生存率0%」と伝えられた。
病床では「ホノルルマラソンのゴールでパートナーと抱き合い、翌日ハワイの教会で結婚式を挙げる」という夢を描き続ける。
左腎摘出手術後、化学療法2クール。再発予防のため、自己治癒力を高める方法を模索し、世界各国、日本全国を旅する。呼吸法を学んだことで、発声により体の回復を実感し、歌うことへ繋がっていく。
2008年、病床で描いていたホノルルマラソンと結婚の夢を叶え、2010年より、がん患者、家族、サポーターと行く「がんサバイバーホノルルマラソン」を主宰。
現在、命を唄うシンガーソングライターとして、命のマガジン『Messenger』編集長として、がんになる前より元気にトーク&ライブ、一般講演、学校講演、取材など全国を駆け回っている。
主な出演番組「奇跡体験!アンビリバボー」「誰も知らない泣ける歌」。
2010~2019年「がんサバイバーホノルルマラソンツアー」を主宰。
2007年、1stアルバム『Life is strong』
2014年、2ndアルバム『Rebirth』
2019年、3ndアルバム『YELL ~あなたの命が輝きますように~』リリース。
2011年、著書『命はそんなにやわじゃない』(かんき出版)を出版。

(次回に続く)

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