代表取締役 湯川 剛

私達が設立する「展示場」は従来の発想を変える事から始めました。
元々、中国ではこのような展示場の場合「●●水の科学館」という名称を使用しますが、まずは「展示場」の名称から見直す事にしました。そこで欧愛水基の社内で「展示場」の名称募集をする事になりました。
その中に「水密碼館 ~Water Code~ 」という提案がありました。
中国語をカタカナで発音表記するにはなかなか難しいものがありますが「シュイ ミィ マ グァン」と発音します。

日本人にはなかなか分かりにくい漢字ですが「密碼」(ミィマ)とは「パスワード」の意味です。
英文では「Code」としました。本来は英文では「Password」となりますが、「Code」にした理由は当時、世界的にも話題になった映画『ダ・ヴィンチ・コード』の「Code」から来ています。この提案は欧愛水基(OSG中国現地法人)の営業部の社員さんからです。
実はこの中国の社員さんとは私が初めて中国に進出するきっかけを作ってくれ、それ以降もお互い「兄弟」と呼び合っていた金鋭氏の長男です。金鋭氏は何度もこの「人プラ」 (人生はプラス思考で歩きましょう!略)で登場します。
この金鋭氏の長男を是非とも預かって欲しいという事で、僅かな期間でしたが一時、欧愛水基の社員になっていました。彼は英国留学の経験があり、英文から来る印象や中国人からも受け入れられる事を十分把握していました。その彼が「水密碼館 ~Water Code~」を提案してくれました。私はこの提案に一発で了解しました。

「水密碼館 ~Water Code~」を直訳すると「水のパスワード」となりますが、意味的には「水の不思議館」的な感じでしょうか。今までのような、ありふれた「水の科学館」から全く違った角度で「水密碼館 ~Water Code~」です。この命名に相応しい設計をしようと思いました。更に中国全土だけでなく、世界中の人々に集まって貰う「水の展示場」を作る事にしました。

「第9次4ヶ年計画」はその先にある「創立50周年」を視点に「世界市場」をも見つめており、その4ヶ年計画の第1歩に相応しい「水密碼館 ~Water Code~」は、意義のある投資だと思いました。こういった展示場を新設する場合、まずはコンセプトが決まらない限り前には進めません。そういう点において館名が決まった事はコンセプトが半分決まったようなものです。
「水密碼館 ~Water Code~」の名前に相応しい中身を考えなくてはなりません。設計もまずはその方向性が決まらない限り、前に進めない訳です。

3月15日。私は上海に飛びました。私は改めて長喜 孫董事長と面談し、館名を伝えました。「水密碼館 ~Water Code~」に対して彼は「素晴らしい。これは面白い館名だ」と言ってくれました。実は、私は孫董事長に確認する前に約100人近い中国人に「水密碼館 ~Water Code~」感想を聞きました。殆どの中国人がこの命名に好印象を持っている事を事前に把握していました。その日の夕方、設計事務所とも合流しオープン日が「6月20日」と決まりました。中国の事だから、これは最終回答ではないと思いつつ具体的な日にちの決定により更に期待が高まる事を感じました。

それにしても、中身がまだ白紙の状態にも拘らず「水密碼館 ~Water Code~」という館名だけで大きく期待が膨らむ事に、私は改めて「命名」のチカラを感じました。

 

【追記】
3月14日は、ウォーターネットのパートナー企業であるJF社の飯沢元副社長の告別式でした。この日の雨は静かに降っていました。
前日のお通夜にも参列しました。突然の交通事故死でした。

大変お世話になった飯沢副社長はウォーターネットのオーナー会では、中心的な立場で会を盛り上げて私を助けてくれました。若い時に事故にあわれ、半身が不自由でしたが、持ち前の明るさと負けん気で、東証一部の副社長まで就かれました。JF社がウォーターネットのパートナーとなり、多く助けて頂きました。

長く経営をしていると、このような場面に何度も出会います。悲しみの中にいる自分とは関係なく、仕事のスケジュールが次々と来ます。そうする事で悲しみから忘れさせてくれるのでしょうか。今回の「人プラ」16年の出来事を掲載しながら、飯沢元副社長の事を思い出しました。そう言えば来年が7回忌でしょうか。

(次回に続く)

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