韓城市の副市長・市幹部らとの昼食会で金鋭氏より「OSG製品を韓城市で使って貰ってはどうか」との提案を受けて、私はその場で「市長・副市長、そして本日参加の幹部の皆さんのご自宅用にアルカリイオン整水器を10台、無償進呈しましょう」と発言。その発言に市幹部達らは大喜びで、有力代理店のオーナー達も「PRになる」と賛同してくれました。
しかしこの事で昼食後、私は金鋭氏から注意を受けました。
それは「無償で進呈する」という言葉です。当時、習近平国家主席の下で賄賂に対する厳しい締め付けがありました。有名な言葉に「トラも叩くがハエも叩く」の表現があるように、高級官僚や政治家らの大きな汚職だけでなく地方の役人の賄賂も見逃さないという事で、今回の「アルカリイオン整水器の無償提供」もそれに相当する可能性があるとの事でした。
それにしても、副市長や役人が拒否するどころか、大いに盛り上がったのは何故かと質問したところ、金鋭氏は「地方役人の無防備な言動」との事でした。
昼食後、今度は韓城市長との対談があると言われました。地元のテレビ番組として撮影もされるとの事で、私にとって急な話の展開です。まさか早くも「10台プレゼントの効果か」と金鋭氏に確認したところ、事前に10社程の対談が企画されており、プレゼント効果ではないとの事。ただ日本企業としてはOSGだけだという事でした。
対談のテーマは「健康」。私は「健康の概念が広すぎる」と伝え、「健康に飲料水は不可欠」と変えて貰いました。
テーブルを挟んで、韓城市長と私との「対談」が始まりました。何の準備もないままでの「対談」でしたが、「飲料水」という話題であれば何の不安もありません。
対談が始まる前、金鋭氏は市長に「湯川氏がOSG製アルカリイオン整水器をモニターとして10台、使ってほしいとの事です」と伝えると市長は「分かりました。モニターで使ってみましょう」と応えました。なるほど、役人にはそのように言わなきゃいけないのだなと妙に感心しました。
さて、対談が始まると市長から思わぬ発言が飛び出しました。
一帯一路の出発拠点である韓城市におけるメインテーマに「水科学館」設立の構想があるとの事。思わず通訳をする社員さんと目で確認。私だけでなく、二人ともが「水密碼館 ~Water Code~」が生きると思いました。そして続く次の発言によって驚きが倍増!
『1月15日までに政府から2億元(約32億円)の振り込みがある』
この32億円は「水科学館設立だけ」に対する予算との事で、桁違いの予算です。
一帯一路の出発拠点である韓城市への投資は、数千億円規模と聞いています。
ちなみにこの韓城市は、習近平国家主席の父親の生まれ故郷である陝西省渭南市の同行政区画に属しているとの事で、どの国でもいろいろな利権が飛び交うのだなと思いました。
汚職の話はどうなったのでしょうか。
市長の話は更に進みます。
『5月に韓城で「健康シンポジウム」の開催を予定しています。日本から日本機能水協会の関係者や大学教授、日本の政治家など幅広く参加者を集めてほしい』と要請され、更に韓国・インド・ベトナム等の水関連知識者や大学教授等の派遣も私にコーディネートしてほしいとの事です。国際的なシンポジウムにしたいという意向なのでしょう。
彼らは「水密碼館 ~Water Code~」を知った上で、私に白羽の矢を立てたようでした。
1時間の対談が終わると、韓城市によるプレゼンテーションがありました。
将来の韓城市の街並みが映像化され、韓城市のジオラマも掲示されていました。
プレゼンテーションの後、中国産の「水素水パック」がお土産として我々に渡されました。
その後「水科学館建設プロジェクト」の調印式があり、私もその調印式に参加しました。
その後、金鋭氏主催で各加盟店オーナーとの食事会があり、新華社通信の記者も参加していました。彼の話によると、今回の韓城プロジェクトは中国政府肝いりでの投資だという事を改めて知らされました。
「韓城プロジェクト」にどれだけOSGが貢献できるのか。もしくは中国がよくやる手法で単に「日本も参加している」という事で終わるのかは、5月に行なわれるシンポジウムで大体の方向が分かります。それくらい中国の手法は慣れてきました。この経験がなければ多分日本人経営者の場合、大変なプロジェクトに参加し、もしかすれば大変な収益を生むかもしれない等と「捕らぬ狸の皮算用」を初夢にするかもしれません。
(次回に続く)
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