代表取締役 湯川 剛

この社員教育を終えてからの会社は、一変しました。春のあの誤報から来る「倒産直前」の状況から完全に脱出しました。職場の雰囲気がガラリと変わったのです。壁も天井も机も書棚も以前とは変らないのに、すべてが明るくみえました。それは社員さん1人1人が醸し出すプラスのエネルギーが職場の空気を変えたのだろうと思います。当然、誤報記事が掲載された4月29日から約4ヶ月間の沈んだ雰囲気も、社員さん1人1人が醸し出すマイナスのエネルギーがそうさせていたのでしょう。不思議なものです。

社員教育終了に合わせて、以前より頼んでいた商品が、私の手元に届きました。
前年の5月にぎっくり腰で入院した時、医者から「低周波で治療する」と言われました。実際、治療を受けてみて「これは、なかなか気持ちがいいな」とは思いましたが、この時はそれ以上の関心はなく、「低周波治療器」という名前を認識する程度でした。これが「低周波治療器」との初めての出会いです。
不思議なもので、興味や関心を持たなければ、人間が持つ情報をキャッチする受信能力は発達しないものですが、逆に関心を持つとそれまで気付かなかったり、気にも留めなかったものが目や耳に飛び込んでくるかの如く、受信感度が良くなるものです。
当時、「必殺仕掛人」というテレビの人気番組がありました。その番組スポンサーに「家庭用低周波治療器」を扱う会社が名を連ねていました。今まで何度も見た事のある番組でしたが、それまで「低周波治療器」など気にもしていなかったのです。病院で見る治療器とは全く違っていて、現在のノートパソコン位の大きさでした。

浄水器が認知されていない事から起こった「誤報記事事件」をきっかけに、私自身「浄水器のみの単品販売では将来が描けない」という危惧を抱き、常に商品を探す事を心がけていました。その取扱商品候補として、この低周波治療器が心の隅にあったのです。でも人気番組を提供する大きな会社が既に存在している事に少し怖気づいていましたし、同じものでは差別化が図れないと感じていました。ところがその後、不思議な事は続くものでポケットサイズの家庭用低周波治療器がある事を知ったのです。その商品は大阪の北浜に本社があるK産業が地域代理店をしているとの事で、私は早速、代理店の代理店が可能かを尋ねに行きました。そこで初めて西山社長と出会いました。まず自分で使ってみようと1台購入。病院で受けた治療とあまり変らない感触に「これはイケる!!」と直感した私は、例の社員教育後を見計らって1ケースを送って貰う事を約束し、いざ社員教育に臨んだ訳です。
社員教育後を「新生OSG(当時、大阪三愛)」というなら、まさに新生第1号の商品でした。
やる気満々の社員さん達に手渡された商品に、誰も否定しませんでした。むしろ大歓迎でした。どのように売って良いのか分からなくても、そんな事を大きな問題などと捉えないない程、「前向き集団」に変身していました。やはりどこかで「誤報記事事件」が心に引っかかり、私と同様に取扱商品が浄水器だけという事を不安に感じていたのかも知れません。幸い会社を興して7年が経過。まずはその7年間のお客様・販売店様から売り込みに行きました。年末を迎え、本来なら浄水器販売が厳しくなる時季でしたので、この商品との出会いは非常にタイミングが良かった訳です。私より1回り以上も年上の西山社長にも、この予想以上の出荷は喜んで貰えて、「全国一の地域代理店になって下さい。私も協力します。」と約束したものでした。

(次回に続く)

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