代表取締役 湯川 剛

私が髙橋社長と2度目の電話をしたのは、森上氏と面談した1月16日から6日後の1月22日の15時30分でした。何度も掲載しますが16日の森上氏との回答の電話があれば髙橋社長との2度目の電話はなかったと思います。

私の中で「食パン専門店」のポジションは、従来にないビジネスとしてベンチャービジネスの位置づけをしました。その為「スピード感」が要求されます。
そこで髙橋社長に2つの戦略について説明しました。
その1つが「同質化戦略」です。
例えば、販売価格や販売スタイルに対し、検討の時間は費やさない事です。
そういう意味では5年先を走る「根上」こそモデルの1つとしてやるべきだと話しました。とはいえ私自身、森上氏から「根上」の食パンを貰いましたが、1度も食べた事はなく、店舗がどこにあるかも知りません。その点、髙橋社長はよく知っている訳です。
仮に社名を考える場合も時間をかける必要がなく、スピーディーに前に進めていく為には社名も「根上」と同じように「髙橋」と「湯川」で「橋川」にする位のスピード感でやる必要があると説明しました。勿論、社名「橋川」は当然の事ながら、私の頭にはありませんが、「スピーディーにやる」事がベンチャービジネスの命だと説明しました。

次に2つ目の戦略について説明しました。
2つ目の戦略は「差別化戦略」です。
それは「同質化戦略」において誕生したならば、それは単なる「擬似商品」すなわちコピー商品にしかすぎません。これは逆に先発相手に優位性を与えるだけです。
そこで先発商品には絶対に真似が出来ない、むしろ後発メーカーだからこその優位性として「差別化」を徹底的にする事でした。
例えていうなら「仕込水にこだわる」という「差別化」です。
相手がマーガリン使用なら「バター100%」も「差別化」です。
このように「差別化」として「何が出来るか」は後日、改めて打ち合わせする事にし、この日は2つの戦略をもって「食パン専門店市場」に参入する事を電話で伝えました。

私は翌日から4泊5日の上海出張を控えており、その前に何かすっきりした気持ちにしたかったのでしょう。こうなると私の気持ちは止まりません。
2年後の2020年にOSGが創業50年を迎えるにあたり、私はこの機にOSG事業から徐々に手を引く準備をしようと前年の2017年から思っていたにも関わらず、逆に従来のOSG事業とは全く違った市場への新規参入に動き出しました。

上海から帰国後の1月31日。OSG本社にて髙橋社長と直接面談し、具体的な動きになりました。

猪木語録の「迷わず行けよ、行けばわかるさ」の言葉の「迷い」は私の中では全くなかったですが「行けばわかるさ」に導かれるように動いていたのかもしれません。
そして「迷わず行けよ、行けばわかるさ」の言葉の後に時々猪木さんは「バカヤロー」と叫びますが、もしかしたらそんな「バカヤロー」の決断だったかもしれません。

次回、4月1日に掲載します。

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