代表取締役 湯川 剛

1月31日11時30分。OSG本社に髙橋社長が来社しました。
森上氏が以前経営していた広告制作会社「ロック」(仮名)のOSG担当者Aさんがお年玉を取りに来た際に森上氏の話になりました。私が知り得る森上氏の社長としての印象と社員さんが抱く印象に大きな差はありませんでした。何事にも積極的な行動派社長評でした。
ちなみに森上氏は在阪テレビ局の役員から紹介され、その関係からOSGの情報誌等を「ロック」に依頼していました。森上氏はその広告制作会社「ロック」を東海エリアの印刷会社に売却していたという事です。

この日、髙橋社長との面談にOSGの特許顧問である特許事務所の先生も合流しました。
ここで私は社名に対し、特許事務所の意見を求めました。
その社名が「銀座仁志川」です。

社名と言えば「根上」の社名決定の経緯を森上氏に聞いたことは既に掲載しました。
『「根上」の社名の由来は森上氏と坂根氏の下の名前を取って付けられたとの事です。
森上氏が会長で、坂根氏が社長との事です。』(第540回「約束の電話」より)
私が以前、日記に「橋川」と記載したのは、まさに「根上」の社名誕生の経緯である森上と坂根両氏の一文字をとって「根上」が決まった同じ発想のものでした。
スピード感が要求されるベンチャービジネスにおいて社名も「同質化戦略」で「橋川」と発想したのは、まさに「髙橋」と「湯川」の1文字を取ってのことでした。
しかし社名まで「同質化戦略」という訳にはいきません。

私は1週間、社名決定に没頭していました。何度も紙に書いては破るの繰り返しです。
予め決めていた事は「銀座」という名称を付けるという事です。
「銀座」は東京の1エリアを指しているのではありません。「日本の銀座」であり「世界の銀座」である訳です。この地名を使わない訳にはいきません。
社名考案に没頭しながらも、どうしても「根上」の社名決定の経緯が頭を過り、「髙橋」と「湯川」の文字が離れません。
そこで2人のフルネームを書いてみる事にしました。
そうすると「高橋仁志(ひとし)」の「仁志」に目が行きました。
特に「志」の文字が私の中で引っ掛かりました。
これから今まで経験した事のない「食パン専門店」の市場に参入するには、まずは「志」がなくてはなりません。そのように考えるとその前の文字の「仁」にも目が行きました。
そうか。「人に志あり」という言葉は、まさに私の今の気持ちだと思いました。これだ!
「銀座」「仁志」と書き、次は何の抵抗もなく「川」という文字が自然に出てきました。
以前から決まっていたかのように、すっと「仁志川」と名前が出てきました。
「にしかわ」と読み、頭に「銀座」をつけて「ぎんざにしかわ」が抵抗なく出てきました。初めて聞いた感じではなく、何か耳に馴染みがあります。
そうか。寝具メーカーの社名でどこか聞き覚えがあるように感じるのかと思いましたが、一旦頭の中に入ると「ぎんざにしかわ」は急に愛着が湧くようになりました。
「根上」の社名決定は共同経営者の1文字ずつを取って出来たという経緯がありましたが、私は「そうではなく、文字のひとつひとつに意味があるのだ」と概念付けしました。
だから「銀座仁志川」の「川」は「湯川」の「川」ではありません。
この「川」の意味は「世界に通じる」という意味です。
これから「銀座仁志川」が日本全国に広める時、その地域エリアには必ず「川」があります。そして「川」は必ず世界の「海」に流れていきます。
そのような意味では、世界の「川」はつながっているのです。
例えていうなら、パリのセーヌ川と東京の隅田川とはつながっているという発想です。
ニューヨークのハドソン川は大阪の淀川とつながっていると考えれば、面白いです。
とはいえ、この時点では「世界に通用する食パンを作ろう」という大きな構想からスタートした訳ではありません。これはOSGの「社歌」を作った時の発想に通じる話です。
創立10周年に「社歌」が出来る訳ですが、この曲の3番に「理想は崇高く 世界の海へ」という歌詞があります。 (第103回:OSGの企業文化・社歌について)それを作った時によく似ています。よって2022年にサンタモニカ店出店の米国初進出は、2018年1月31日時点では想像もつきませんでしたが、間違いなく「川」は影響しています。

まとめていうと「銀座仁志川」の社名決定は髙橋社長の「仁志(ひとし)」がヒントになりましたが、名前をそのまま引用した訳ではありません。もし「髙橋等(ひとし)」なら採用していません。同様に「川」も私の「湯川」から来たものではありません。そこには大きな意味合いがあった訳です。もちろん他の人が「高橋仁志」からつけたと思って頂いてもそれには異論はありません。

「人に志あり」「世界の海に行きつく(世界に広げる)」を「銀座」からスタート。

こうして1月31日。「銀座仁志川」の社名誕生はこの日に決まりました。
1月16日に森上氏と話をして僅か15日目の事でした。

次回、4月10日に掲載します。

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