代表取締役 湯川 剛

前日の8月29日はOSGの第48回目の創立記念日でした。
この日に「銀座仁志川」の身内内覧会を開催しました。
翌30日。私は、品川15時30分発の新幹線で大阪に向かっていました。そこに1本の電話が入りました。私は席を立ち、デッキに出ました。
第一声が「異物混入」の言葉だけが意味なく耳に残りました。
「なに!いぶつこんにゅう」と聞き直し「あの、異物混入か」と確認しました。

実は、オープンまでに試作品(試食品ではない)として「銀座に志かわ」食パンを関係者に配布していました。電話の内容は「銀座に志かわの食パンに紙切れのような異物が入っていました」とのことです。今までの私の頭の中には「異物混入」の単語はありません。もちろん「異物混入」という言葉は分かっていますが、その時までは「わたし事の出来事」として、捉えていません。改めて私の頭の中に「異物混入」という言葉がどしっと入りました。

銀座に志かわ・食パンを関係者に配布していた先で連絡があった、とのことです。「食べようとしたら紙切れのようなものが入っていました」に私は「髪の毛か」と確認すると「紙切れです」とのことでした。「紙切れ」が入っていた食パンの配布先は、OSGの関連企業である「OSGウォーターテックからの連絡です」とのことです。これが他社様であれば、謝罪に行かなければならない、と一瞬思いました。

私は電話の相手に「これは神様から与えられたプレゼントです。本番前にこのようなことがある、と食パンの神様から教わったわけです。まずは原因を究明して、すぐに対策を考えて下さい」と指示をしました。
デッキから席に戻って、改めて「異物混入」という言葉が今まで以上に認識しました。
「そうか。異物混入か」と何度もこの言葉を繰り返しました。私が今まで携わった仕事の中で経験したことのないリスキーなことをこれから経験していくのだな、と思いました。
咄嗟に「この出来事は、食パンの神様から与えられたプレゼントです」と言いましたが、本当にそうだと自分自身に言い聞かせました。

後日、この原因が分かりました。粉袋をミキサーのボウルの中に入れる際に起こった出来事です。すぐさまメーカーに粉袋を開ける工夫をしてもらい、なおかつ、現在も「空袋の確認」をすることをしています。

年間最多1000万本近い食パンを製造している時期もありますが、細心の注意を払っていても全国の店舗で接客態度も含めて、お客様からのクレームはないわけではありません。
お客様からの苦情は、正に神様からの声だと現在もこの気持ちは変わっていません。

【追記】
前回559回に『私の性格上「えっ!」は、口が腐っても言いません。』と言いながら、最後に『「なにっ!」』と掲載しています。

先日家族とスタバでコーヒーを飲んでいる時、「人プラ」の話題になりました。
その時、559回の話になり、あの時「えっ!」は言わないが、「なにっ!」はOKなんや、と笑いながら私に質問しました。
私はあの時の「えっ!」は困った時、内心は別にして外面的にはそう見せないことで、口が腐っても言わない。「なにっ!」は質問している時に発した言葉だ、と説明しましたが、改めて読み手においてはそんな感想や疑問があり、中々「書き言葉」は難しいなと思いました。

次回、9月20日に掲載します。

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