代表取締役 湯川 剛

お客様がわざわざ「銀座に志かわ・本店」に来ていただき、しかも並んで買っていただいている。こんな風景は今までの私の経営の中にはありませんでした。喜ぶより緊張します。
それを支えてくれる多くの人がいました。それは早朝より出勤して「銀座に志かわ」の食パンを作ってくれている工房の人達の存在です。

以前、「根上」の経営者の1人である森上氏との面談の時に、わざわざロールスロイスに乗って来ている(第540回掲載)と言う話を聞きました。この話に私は違和感を感じました。
私は、三重で幅広くベーカリー店を運営している髙橋社長に銀座仁志川を一緒にやらないか、と声を掛けた時があります。但し、一緒にやる条件として2つを言いました。
1つ目はアルカリイオン水を仕込み水にすること。2つ目はロールスロイスだけには乗らないでほしいと言いました(第541回掲載)。 私は決して高級車に乗ってはいけない、と言っているのではありません。ただ、見せびらかすように言うべきことではない、という事を伝えました。そこには「早朝から出勤して頑張っている工房の人達がいる」ことで成り立っているビジネスだ、ということを忘れてはいけないわけです。私は飲食ビジネスは初めてです。だから、このような考え方は「余分な事」かもしれません。そういう意味においては、これは「信条」の部分であり、善悪の問題ではありません。中には、高級車に乗って「君らも早く頑張って、このような高級車に乗るように」と働いている人達に発奮を促すマネージメントをしている経営者もいるかもしれません。人それぞれのマネージメントです。ただ、私の感覚としては、違和感があります。

さて「熱血版」の話に戻します。
私はパソコンが苦手です。ただ、スマホは操作できます。そこで毎朝4時前に起きます。
そこから前日の成果の報告を書き込みます。メディア露出の記事等は前日の就寝前に作り込んでいます。ただ、当日の天気等の状況の情報はホットなものにしたく、4時前に起きて作業をします。「熱血版」発行当時は工房の人達の情報も入れながら発信していました。
毎朝です。月曜日から日曜日まで毎朝の作業です。そんな日々で少しずつ疲れが出てきます。
前日にお客様とのお付き合いで食事をして、遅く寝る場合があります。それでも4時前には起きます。続けていると、みんなが「熱血版」を待っている、という事が気持ちを奮い立たせます。
多少「つらいな」という朝もありました。しかし「嫌だ」とか「やめたい」という気持ちは一切ありませんでした。 むしろ「つらいな」という気持ちが、毎日の「完売御礼」に対しての代償のような気持ちでした。この「つらいな」が連日のお客様の行列を作っている、という納得感がありました。とは言え、間違いなく睡眠不足です。そのような状況が数か月続きました。

そんなある日、私が毎朝早朝に「熱血版」を発信しているということがOSGの情報管理部の阪本次長(当時)の耳に届きました。阪本次長は私に「湯川会長、それは続きません」とアドバイスをくれました。しかし、私はなんとしても5時までに発信したい理由を言いました。ある工房スタッフは3時に起床している事を知り、3時に発信したいぐらいだと言いました。
そうすると阪本次長はニコニコ笑って「それはできます。3時にセットすればいいのです」と言ってくれました。「なにっ!」と言って阪本次長の説明を聞きました。私は「そういうことか!」と理解し、阪本次長に協力してもらえるかと頼みました。勿論、阪本次長は多くの仕事を抱えています。その中で仕事量が増えるわけです。しかし彼は「喜んで協力します」と言ってくれました。

デジタル音痴でアナログ代表の私が過ごした、毎朝4時前起床の3か月の「熱血版」作業は決して無駄ではなかったと思います。元々、工房の人達と同時刻に作業している事に納得感があったからです。ただ、阪本次長の「このままなら続きません。続けられないなら意味がありません」の言葉に助かりました。

こうして「熱血版」は阪本次長の協力を得て、スタートを切ることになりました。
阪本次長の存在なくして、この「銀座に志かわ・熱血版」は存在しません。

【追記】
2018年当時「銀座に志かわ・本店」のみに発信していた「銀座に志かわ・熱血版」はそれ以降、加盟店様のオーナー及び店長等に発信され、いつしかOSGグループの幹部まで広がり、読者数がマックスで1000人近くになりました。
現在では、毎日ではなく月・水・金の発信としています。発信時間午前3時は変わりません。

次回、12月10日に掲載します。

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