代表取締役 湯川 剛

2018年9月13日にオープンした「銀座に志かわ・本店」は連日お客様の行列が絶えません。この間に台風等があり、東京都やJR東日本から「今夜は台風の為、電車が20時以降に運休する」という情報が前日に流れた時「明日はさすがにお客様は並ばないだろう」と思っていましたが、その時もお客様が並んで店のオープンを待っていただいていました。
本店の店長がお客様に聞いたところ「今日は台風が来るので、並ばなくても買えるのではないか」という事で来店していただき、結果的にはオープン前にお客様が10人近く並んで待っていただいたほどでした。

10月に入り、私の身体がだるく両足が痺れるようになりました。3年前、東京医科歯科大学病院で数日間にわたる検査入院をし、その結果、国が定める指定難病の1つである「後縦靭帯骨化症」と診断されました。
難病の国家チームがあり、そのリーダーの教授に直接診ていただいた結果、教授は「手術を勧めるが湯川さんも高齢なのでよく考えるように。多少の不便はあるが、痛みや痺れがないなら手術しなくてもいい」と言われたまま、3年が過ぎました。昨年の今頃も同じような症状が出ています。身体に無理をすると出てくるのでしょう。そして、痛み止めの薬を飲んでいるうちに症状がおさまり、また今回のように両足が痺れたり、腕が痛くなったりします。これも「オープンパワーでの痛み」として、前回と同じように痛み止めをもらい、多忙なスケジュールをこなしていました。
私の人生訓の中に「好事魔多し」があり、何かいい事があれば、必ずマイナスな現象も起こる、との認識ですので「いい事の痛み」と対応していました。(これは本来は危険な事ですが、そうして乗り切ってきた事がどこかでいつかは爆発するでしょう)

そんな中で更に困った問題が起こりました。
「銀座に志かわ・本店」が好スタートし、それでも人数が足らない工房の中で、宇田川さんが「辞めたい」と退職の意向を示しました。聞いてみると「独立して、出来れば銀座に志かわの店舗を持ちたい」との事です。毎日の忙しさの中で、肌で「これはいける」と感じたのでしょう。経営者としては優秀な人材が戦線離脱されると困りますが、しかし「目標を実現したい、夢を実現したい」という言葉は私にとってウィークポイントです。このような言葉を聞くと、むしろ逆に「頑張れ!」と言ってしまい、その後に悩んでしまうことが過去にいくらでもありました。今回も「よし頑張れ!」とその申し出を受けました。そしていつもこんな時は、呪文を唱えるように「好事魔多し」「好事魔多し」と言い聞かせます。

もちろんこの時期の私のスケジュールは「銀座仁志川」ビジネスだけでいっぱいではありません。
当時は「銀座仁志川」ビジネスに費やす時間は全体の2割もありませんでした。残りの8割は従来の仕事に従事しているわけです。特に、2年後に迎える創立50周年がその時の大きな仕事でした。そんな「創立50周年記念事業」に私財を使って、映画「セカイイチオイシイ水」に取り掛かっていました。大きな節目の50周年事業です。後年、OSGの社員さんに見てもらいたい「水の大切さ」を知らせるための映画でもありました。10年後、いや50年後に見てもらっても「水は重要だ」と思ってもらえる映画です。この映画の話は、既に「人プラ」でも掲載されています。
その「セカイイチオイシイ水」が2018年11月2日18時に、映画の出演者や監督、製作に関わった全ての人が見る初号試写会が、秋葉原駅近くの「秋葉シアター」にて開催しました。
OSGからも社長以下、10名程の幹部や管理職が鑑賞しました。試写会後、近くの店で打ち上げもあり、お土産に「銀座に志かわ」食パンが用意され、主役の赤井英和さんご夫婦も「これが今有名な、食パンなのね」と「銀座に志かわ」の食パンを知っていただいていました。参加された全ての方にお土産としてお渡ししたので、皆さんは映画の話より「銀座に志かわ」に話題が移っていました。私はその場で1つ袋から開けて、参加者の方に食べてもらいました。「美味しい!」とか「初めて食べた。感動した」と言っていただきました。
そんな打ち上げの中で私は、映画を見た後の感想を1人でブツブツ呟いていました。そして、幹部の1人に「あの映画は感動したか。自分は全くしていない」と場所柄もわきまえず、そっと伝えました。これが後々に試写会では見なかった「セカイイチオイシイ水」になっていくわけです。それは後程お話します。

話を「銀座に志かわ」に戻します。
11月に「根上」が東京初進出にて、やはり長蛇の列でオープンでした。これは「銀座に志かわ」にとってマイナスな状況を引き起こすどころか、むしろプラスの材料となりました。
「銀座に志かわ」のオープン当初は「銀座食パン戦争」で話題を集めましたが、「根上」が東京に進出したことにより「大阪の根上」VS「東京の銀座に志かわ」の図式になり、メディアの露出も増えました。「根上」は5年先発ですが、東京での「食パン専門店」の進出では「銀座に志かわ」は数か月早いわけです。
後日談ですが「根上」の関係者から、「根上」の売上が少し下降気味であったが「銀座に志かわ」オープンの情報が全国的に流れ、それが「根上」への相乗効果となって売上がまた上昇した、との話を聞いたことがあります。
そんな話題も含め、年末を迎えることになりました。初めて迎える大晦日です。

次回、12月20日に掲載します。

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