「銀座に志かわ」は銀座本店に次いで2号店を大阪に出店しました。
本来なら店名に「銀座」と謳っていますので、2号店も東京、もしくは首都圏で出店するところ、いきなり大阪に出店する事になりました。しかも大阪商人(あきんど)の街、そのど真ん中にあたる「船場」に出店する事になったわけです。実は、これは本部の意向ではなく、加盟店様の意向でした。
大阪と言えば「根上」の発祥の地であり、高級食パン専門店発祥の地でもあります。その「根上」が昨年11月に東京へ進出し、「銀座に志かわ」がなんと2号店を東京でなければ首都圏でもない、いきなり大阪に進出した事となり、周辺はざわつきました。言葉に語弊があるかもしれませんが「銀座に志かわが9月にオープンして、2か月後に根上が東京へ進出。では次は、銀座に志かわが大阪に殴り込みだ」的な構図になりました。
「銀座に志かわ」がオープンの時は「銀座食パン戦争」で注目をしていただき、マスコミに取り上げられました。2号店が大阪に進出した事で、更に「根上VS銀座に志かわ」の図式が出来上がってしまいました。そこをマスコミが動きます。
2019年1月15日。
「銀座に志かわ・船場本町店」のオープン日です。
私はオープン1時間前の9時に到着しました。店頭には銀座本店がオープンした当時のような長蛇の列もなければ、行列もなく、ただ1人のお客様だけがいました。むしろ、オープンの状況を聞きつけて在阪テレビ局の関係者の方が多くいました。私は内心頭を抱えました。やはり、大阪ではアンチ東京があって「銀座」という店名を受け入れられていないのではないか、と不安な気持ちでその風景を見ていました。髙橋社長と近くのカフェに入り「大丈夫ですかね」と1時間後のオープンの光景に多少の不安がよぎりました。なんと言っても銀座本店オープン前の長蛇の列から比較すると、寂しい限りです。
あの時は9月オープンで爽やかな季節であったが、暦の上ではあと数日で大寒を迎える寒い朝に並ぶ事は中々容易ではない、等と並ばない事の原因を2人で何か慰めるように話していました。オープン担当の社員さんに「どんな感じですか」とカフェから電話をして確認をしましたが「ちらほら集まっていますが、行列程の事ではありません」との回答です。テレビの取材も入っていて、カメラクルーの人達の方が多い光景を最初に見ていましたので「オープンでちらほらなら、格好がつかないな」とテレビの取材を気にするようになりました。お店から100メートル程離れたカフェにいます。見に行けばいいのに、担当社員さんに電話で何度も確認をしていました。オープン15分程前に電話をしたところ「会長。並んでいますよ!」との返事でした。「あ、そう」と少し安堵して、私と髙橋社長はカフェから出ました。なんとそこは、40分前の光景とは大きく変わっていました。テレビ取材の皆さん方もインタビュー等をして動き出していました。
私も髙橋社長も「よし!」と気合いを入れました。
「銀座に志かわ・船場本町店」に多くのお客様が並んでいただきました。寒い中です。そんな中を多くの方が並んでいただいたわけです。50人はいたでしょうか。私は心の中で深々と頭を下げました。そして、ホッとしました。2号店オープンです。
髙橋社長がテレビ取材を受けています。手前味噌のようですが、髙橋社長のテレビ取材での受け答えは素晴らしいです。ドラえもんに登場するのび太君のような丸い眼鏡とニコニコした顔は、私自身が身内でありながら「上手だなぁ」と思うぐらいです。この社長のイメージが銀座に志かわのイメージにも影響します。先程までのカフェでの不安はどこに行ったのでしょうか。人間はいい加減なものです。そう言えば、寒さもあまり感じなくなりました。
そんな私に「銀座に志かわ・船場本町店」のオーナーである吉村社長が、「会長、誕生日おめでとうございます」と言って花束を手渡してくれました。この日、72歳の誕生日でした。吉村社長は「会長の誕生日にオープンをしました」と言っていましたが、後からそれはたまたまだという事を吉村社長本人から聞きました。
私が銀座に志かわを語る時、吉村社長を欠かす事はできません。
銀座に志かわ全店舗のオープンにはそれぞれ価値があり意味がありますが、私にとってこの「船場本町店」オープンは特別な思いになり、生涯忘れない誕生日の1つになりました。
髙橋社長との取材を終えた在阪テレビ局の話では、夕方の「情報番組」で放映する事になるとの話でした。
この時、夕刻の番組を見て、私が「なにっ!」と自身の闘魂に点火するとは、当然この時は知る由もありませんでした。
【追記】
銀座仁志川ではオープン時に1つのジンクスがあります。それは、オープン前にカフェに入って少し時間を過ごします。そうすると「お客様が行列を作る」というジンクスです。
もしかすれば、その原点はこの「銀座に志かわ・船場本町店」オープンから始まったのかもしれません。
次回、2月10日に掲載します。
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