代表取締役 湯川 剛

2号店「銀座に志かわ・船場本町店」が無事オープンしました。
早々と「完売御礼」のポスターが店頭に掲示されました。「銀座」というネーミングが大阪で受け入れられないのではないか、という不安も一掃し、堂々のオープンでした。在阪テレビ局の情報番組がこのオープンを大々的に取り上げてくれました。内容はおそらく東京では考えられないような編集でした。お客様の声や髙橋社長のインタビュー等は普通通りの流れです。髙橋社長が「3年で100店舗出店する」と今後の展開に対する質問で明確に答えていました。在京テレビ局の取材は既に銀座本店のオープン以来、何度となく受けています。年齢より若く見える髙橋社長の爽やかな笑顔は「銀座に志かわ」の顔として、ここ大阪でも受け答えをしていました。

一連の取材が夕方の「情報番組」に放送されるという事で、私はOSG本社の7階会議室で約30人程の社員さんと共にテレビの前で待ちました。「情報番組」が流れ「銀座に志かわ」オープンの放送はかなり後の方で放送される事になりました。
お客様の声や髙橋社長のインタビューの内容を見る私は、オープン前の不安はどこにいったのか、と思うぐらい落ち着いて見ていました。テレビ画面には「銀座に志かわ・船場本町店」の店頭や店内等を映してくれていましたが、次の場面で「根上」の社長が登場しているではありませんか。アナウンサーは「銀座に志かわ」の食パンの入った紙袋を坂根社長に手渡しています。こんな場面など想像していませんでした。

アナウンサーは、なんとライバルの商品を競合店の社長に手渡し「坂根社長、銀座に志かわが本日オープンしました。東京からお膝元に進出していますよ」的な話をして、挑発するように坂根社長へマイクを向けています。私は「凄い事をするな」とテレビ局の番組進行に驚きながら、正直どうするのかなという興味もあって、画面に釘付けになっていました。
アナウンサーの質問は坂根社長を煽っているような感じです。私は「関西らしいな」とその編集に少し驚きながら見ていました。たぶん、東京のテレビ局ならこのような編集はしないと思います。逆に、もし私が坂根社長ならいい気分ではありません。少し同情しながら見ていました。多分、坂根社長は大阪では名物社長で何度もテレビに出演しているのではないでしょうか。そんな気軽さもあって、坂根社長とアナウンサーとのやり取りができたのかもしれません。坂根社長はアナウンサーの挑発に乗ったのか「うちと同じじゃないか」と答えていました。私は私でテレビを見ながら「いやいや同じではないよ」と画面に向かって言っていました。「水にこだわる高級食パン」の言葉に坂根社長は「水はどこでもこだわっている」と発言し、私はテレビに向かって「それなら何故それを打ち出さんのや」と発言のいちいちに答えていました。しかも、テレビ局のスタジオ内で食べ比べをしているではありませんか。凄いテレビ局の編集です。

髙橋社長の「柔」なら、坂根社長のイメージはどちらかと言えば、「剛」で私とかぶるところがあります。まして、大阪でプロレス団体の会長もやっておられ、年末の番組にも「根上の食パン」を持ってプロレスラーと一緒に登場する経営者です。高級食パンとプロレス。たまたま私はその番組を見ていましたが「銀座に志かわならできないな」と思って見ていました。ここが関西のノリなのでしょうか。
その坂根社長が銀座に志かわの食パンを紙袋から出して、手に持って「同じやないか」とまた同じ発言がありました。これは坂根社長ではなく、テレビ局の番組編成の仕掛けであり、改めて関西のテレビ局は凄いな、と思いました。

そのアナウンサーが「坂根社長、銀座に志かわの社長が3年で100店出店すると言ってますよ」とけしかけていました。すると坂根社長は「3年で100店なんて甘い。うちですら5年で100店舗。やれるものならやってみろ」的な発言をしました。
社員さんと一緒に見ていた私は、テレビ画面に向かって「公共の電波で他社の出店計画を揶揄するとはどういう事だ!」と少し笑いながら言いました。勿論、これは一緒に見ていた社員さんに向かって鼓舞する為に言ったのですが、当然の事ながらむしろ私自身に向かって言っていました。この発言を利用して、強く胸に刻もうと思いました。

本来なら「銀座に志かわさん頑張って下さい。私たちも頑張ります」と発言します。この場面を見た時、坂根社長の人柄がよく分かりました。真っ直ぐな方です。私自身、是非ともお友達になりたい性格の人です。しかも、顔付きも私とダブってプロレスラー的です。大変親近感を持ちました。しかしこの場は社員さんの手前「よくも言ってくれたな」と発言し、私自身「よし、何としても3年で100店する」というきっかけにしました。

なにせ、私の机の右側の引き出しに坂根社長の著書「奇跡の食パン」が入っており、いつかは坂根社長にサインをもらうと決めていました。そして、可能ならば一緒にお酒でも飲める場面があるといいな、と思いましたが、この時のテレビを通じての発言は私に向けての「宣戦布告」と受け取りました。

2019年1月15日。
実質的1号店「銀座に志かわ・船場本町店」オープン日であり、食パン専門店の大先輩である「根上」からの「宣戦布告」を受けた日と意味付けしました。
72歳の誕生日は「根上」からの「宣戦布告」の記念すべき日です。

「よし、やってやろうじゃないか」
私の闘魂に点火しました。

次回、2月20日に掲載します。

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