代表取締役 湯川 剛

「銀座に志かわ秋のオーナー会」後も「銀座に志かわ」はオープンラッシュでした。
私は11月23日に奈良店のオープンセレモニーで「カメラマン」の役を終え、午後には東京に移動し、都内で新たにオープンする予定の店舗の打ち合わせをしました。その翌日は、11月25日に初の北海道進出となる「銀座に志かわ・札幌琴似店」のオープンセレモニー参加の為に札幌入りしました。17時22分着の千歳空港は、私の記憶ではあまり雪が降っていませんでした。オープン当日、ホテルで目を覚ますと札幌は大雪でした。こんな中でお客様が来てもらえるのか、と不安な思いでオープン2時間前に札幌琴似店に到着しました。
慌ただしく準備をしているスタッフの皆さんを見て少しは安心しましたが、私としてはどうする事もできません。そこで、私と髙橋社長は近くの喫茶店で30分ほど時間を費やす事になりました。以前にも掲載しましたが、オープン前に喫茶店でコーヒーを飲むとお客様が並ぶ、というジンクスがあり、しかもそれが全店舗のオープンに当てはまっていました。
とは言え、大雪で靴が雪に入り込む程積もっています。果たしてこんな時にお客様が来てもらえるのか、という不安が正直ありました。なにせ「北海道初上陸」でのオープンです。私は、オープン1時間前になったので髙橋社長に「そろそろ朝礼もあり、出ましょう」とお店から30メートル程離れた喫茶店を出ました。

なんと、驚いた事に既にお客様が並んでいるではありませんか。雪の中なので傘を差して待っている方もいますが、中には傘を差さずに、防寒コートのフードをかぶって待っているお客様もいらっしゃいました。私は慌てて、店頭で対応するスタッフの方に、傘を差し上げて、と伝えましたが準備をしていないとの事です。後から聞くと、北海道の方はいちいちそのような事はしなくてもいいとの事でしたが、こんな大雪を初めて見る私にとっては「大変な出来事」としか映りません。とにかく、私だけでも傘を持っておられないお客様には、傘を差して私も一緒にお客様の列の横で対応する事にしました。並んでいるお客様に対し「雪の中、ありがとうございます」と1人1人に声を掛けました。ある中年女性のお客様が「札幌は当り前よ」と笑われましたが、同時に「ありがとう」と返事をしてくれました。12時を過ぎた頃、フライトの関係で「銀座に志かわ・札幌琴似店」をやむを得ず離れなくてはなりませんでした。この時程、お店のお客様が途絶えるまで何時間もこの場所にとどまり、雪の中で並んでいただいているお客様の対応をしたい、と思った事はありませんでした。

私は、雪の中で傘を差しながら、3時間ほど並んでいただいているお客様と会話のやり取りをした事は、私にとって人生初の経験です。
「銀座に志かわ・札幌琴似店」雪の中のオープン。雪の中をわざわざ来店していただき、更に並んでいただいているその場面は、今もって忘れる事はありません。おそらく、私にとって生涯忘れない場面であり、お客様が来店していただく事の感謝の気持ちを雪の中で学ばせてもらいました。
私にとって、雪の中の3時間は不思議と寒くなかったです。

次回、7月1日に掲載します。

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