代表取締役 湯川 剛

4月に入りました。
OSGには、グループ全社員が使用している「LMPノート」(第109回:LMPノート 2009年7月1日掲載 他LMPノート関連記事多数)があります。

私は「LMPノート」の4月ページの頭に書きなぐりしている言葉があります。
『人類が初めて遭遇する正体不明の新型コロナウイルス。
先が読めない。これが「混迷の時代」と言ってもいい。即ち、答えが見いだせない時代だ。
50年の経験等、クソの役にも立たない。あとは自分を信じるのみ。
誰よりも考え、考え、考えている。自分の仕事に対する責任と情熱を信じる事を次々に打ち出す戦略の裏付け根拠とする』
と書いています。
そして、その文章の後に「LMPノート」4月の言葉である「私は失敗の恐怖に負けません」に先程の文章の後に矢印をして、その言葉を大きく丸で囲んでいます。

今から読み返すと、コロナ禍で打ち出す戦略や行動指針に自信がなかったのでしょう。私はこの当時、不眠不休の状態に何日も陥っていました。こんな時こそトップリーダーの後ろ姿を問われる、と言っているのは、実は自分自身に言い聞かせていたのでしょう。
他の会社のトップやOSGグループの幹部の中にもあった「トップがもしコロナにかかったら」の不安に対し「トップが何をしているのだ」と言いつつも、自分の判断が「絶対」間違いなし、という自信はありませんでした。しかし、トップは指示をしなければなりません。

4月1日。
毎月、定例参拝している信貴山に参りました。コロナ禍の境内は閑散として誰もいません。ご住職をはじめ、僧侶や事務局の方もマスク着用です。もちろん私もそうです。この日は小雨模様でした。日頃はそれほどお賽銭はいれませんが、私はこの日持ち合わせた3万円全額を賽銭箱に入れました。それ程、閑散としていたからです。

実はこの日、私が信貴山で手を合わせながら確認した事があります。それは、余りにも気力を失った社会の中で何か元気を与えるものはないか、と考えていました。外出自粛に伴う中で致し方ありません。しかし、これでいいのか、という気持ちが日々高まってきました。一番の原因は「先が見えない不安」です。誰も経験した事のない不安が拍車を掛けます。それが、この壮大な信貴山の中で更に、静寂というより空気全体が「何もしてはいけない」という感じが樹木にまでありました。
手を合わせながら、私自身も将来に対する不安への払拭とむしろその殻を破りたい、何かアピールするものはないか、と考えていました。その時ふと「テレビCMで元気を出そう」という気持ちになりました。実はここ数日この案は考えていましたが、手を合わせた時にその事が蘇ってきました。
この数日間、私は起きているのか、夢で見ているのか分らないほどに、その当時は色々な打開策を考えていました。それが「日本を元気に」というテレビCMです。しかし、具体的に何をしていいか、またしていいのか、の迷いがありました。しかし、信貴山の本堂で手を合わせた時に「よしやろう」と決断しました。

前期が増収増益であった事も多少の影響はあったと思いますが、思いついたらもう止められないのが私の性格です。
信貴山にお参りした後、私は13時38分発の博多行きの新幹線に乗りました。その車中で「元気」を打ち出すCMはどうすればいいのかばかりを考えていました。勿論、予算は限られています。私は新幹線車中でテレビCM関係者に電話を掛けまくっていました。当時「不要不急の外出自粛」で新幹線にはほとんど乗っていません。いや正確に言えば、前後の車両を見てきましたが誰一人乗っていません。日頃なら席に座って電話する事はマナー違反ですが、この時だけは席に座ったまま電話をしていました。

限られた予算の中でふと思いついたのが、映画「セカイイチオイシイ水」(略「セカミズ」)の映像を使用しよう、でした。

次回、10月20日に掲載します。

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