当時の低周波治療器の販売方法といえば、訪問販売が主でした。しかし私には以前、浄水器の販売で1軒1軒のドアtoドアの訪問販売は、「私だけの経験」として封印していました。余程の覚悟がなければなかなか出来るものではありません。正直、辛いです。特別な事情、例えば社員教育の一環として訪問販売を行なうという条件付き以外は、やらないと決めていましたので、同業他社が行なっている訪問販売はしたくありませんでした。浄水器の販売も必ず取次店を通じて販売していました。
低周波治療器の販売も、当初は浄水器のお客様やお客様のご紹介で販売していましたが、何か物足りなさを感じていました。それは販売や市場に確立したものがなかったからです。浄水器の時もそうでした。浄水器の販売や市場がある訳ではありません。しかし「市場とはあるのではなく、創るものである」という意識は常にありました。
そこで低周波治療器のお客様とは誰なのかを、徹底的に考えました。それは肩こりや腰痛に困っておられる方がです。では何故、肩こりや腰痛になるのか。重い荷物を背負ったり、無理な姿勢で長時間いるという事です。例えば洗濯機がない時代の洗濯などは、腰痛になるのは当然です。すなわち肉体労働や肉体疲労からくる肩こり・腰痛です。
しかし今や、車がありリフトがあり、荷物運びなどは、機械で解放されています。家庭を見ても洗濯機に掃除機等の電化製品の普及が腰痛から解放してくれます。
なのに肩こりグッズは昔からあったサロンパスなどの貼り薬やピップエレキバンなどの磁気治療。マッサージ機器に低周波治療器など、昔以上に増えているのです。では何故、現代人は肩こり・腰痛が多いのでしょうか。それは肉体労働よりむしろ神経から来るところです。
なんとなく顧客のターゲットが見えてきます。神経を使う職業を徹底的に考え、そして自分の与えられた環境を考えた時、ひとつの「顧客市場」が見えてきました。それは運転手市場です。更に交通事故を調べてみると、未熟な運転による事故より、殆どが運転手のちょっとしたミスが上位を占めていたという事です。そこで私は低周波治療器の長い販売歴史にはない考えを思いつきました。全ての顧客ターゲットを運転手市場に絞ろうと思ったのです。
ここに1冊の本があります。私に「市場とはあるのではなく、創るものである」という言葉を教えてくれたピーター・F・ドラッカー教授の著書「抄訳 マネジメント」です。裏表紙には「1978年5月22日、GAT訓練を行なった年、5月21日(日)モリタ石油の決起大会があった日。」と記してあります。P・F・ドラッカー教授の存在は、当時「ドラッカーを知らずして経営を論ずる事は出来ない。企業を論ずる事も出来ない。また現代をおいう時間をも論ずる事は出来ない」と言われ、当時の経営者はP・F・ドラッカーの名を知らない経営者は皆無でした。31歳の私がこの手の書物を最初に買った著者もP・F・ドラッカーでした。そして妙に覚えているのが「市場とは存在するものではなく、創るものである」
31歳の私にとって存在感のない書籍上の人物ありましたが、後年、直接会って「市場とはあるのではなく、創るものである」を聞くなどゆめにも思っていませんでした。
(次回に続く)
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