代表取締役 湯川 剛

4月4日のオンライン会議や時短入社式を終え、16時に創立50周年プロジェクトチームでの会議に臨み「創立50周年記念式典は中止」を伝えました。数年前より準備していた事であり、夏に新型コロナウイルス感染拡大が終息するかもわからない「先が見えない状況」の中で経営判断をしました。創立50周年に伴う社員総会(主催 青樹会/社員会名称)は行う方向で、青樹会が決める事としました。私は、このプロジェクトチームでのミーティングでは最初の方針だけを伝え、溝端OSG社長、山田ウォーターネット社長に任せて退席しました。
この時点から、私は1人で考え込む時間が始まりました。何度も言いますが、当時は「先が見えない」という不安があり、中々自分が行う決断に自信が持てなかった事は事実です。4日の土曜日夜から翌日の日曜日までほとんど寝ていません。
このような「寝ずに考え込む」という現象は珍しくはないのですが、その要因は「ああしたい。こうしたい」というアイデアや創意工夫などを考えての事です。しかし、今回は違います。私にとって珍しい「不安にて眠れない」「私の決断は間違っていないか」という状況であり、通常のポジティブな思考で興奮して寝られないのとは違います。

とは言え、決断してしまった事はそのまま進むわけです。決断をして迷う気持ちは一瞬ありますがそこは割り切るしかありません。この日の「寝ずに考え込む」事は別の要因がありました。それは、OSGのY次長が言った言葉です。彼はキングギドラ会議で「OSG製品の除菌水で助かる命もある」と言いました。

当時、新型コロナウイルスの感染拡大でアルコール消毒液が不足していることを受け、厚生労働省がアルコール濃度の高い酒を消毒液の代わりとして使用することを特例として認めた程です。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために必要なアルコール消毒液は供給が追いつかず、各地の医療機関や高齢者施設から対策を求める声が出ていました。特例として認める事を全国の医療機関等に通知した状況です。
そのような状況の中で、OSG除菌水も各業界から徐々に注文が増えてきました。
このOSG除菌水を感染者数が多い東京都や大阪府に無償提供すべきでないか、という気持ちが湧いてきました。OSGは過去、阪神淡路大震災や東日本大震災にて失われたOSG浄水器等を無償で提供した経緯があります。また、避難所の水不足に対して弊社グループのウォーターネットの水宅配用ガロン水を無償提供した事もあります。現在も自治体と災害時にガロン水を提供する災害協定を結んでいます。OSGの中に「OSGの強みを活かして社会の問題を解決していく」という考え方があります。
そんな中で、私はふと「OSG除菌水を感染者数が多い東京都や大阪府に無償提供すべきではないか」という気持ちになりました。しかし、この気持ちが何故すんなり行動に移せないのか、何に迷っているのか、という事です。その理由は簡単です。「先が見えない不安」です。無償提供をするという事は大きな損失が発生します。考えた末、翌日の4月6日月曜日の朝会後に溝端社長だけに私の考えを報告しました。彼も決断はできません。ちなみに、朝会では「過去の国難と意味が違う」とコロナショックの厳しい状況を伝えています。

【追記】
「人生はプラス思考で歩きましょう!」は年に36回、通常は1回あたり半月分程の出来事を掲載しています。しかし、ここ数回の掲載について1回の掲載が数日間の出来事となっているのは、それほど2020年2月以降の新型コロナ感染拡大に対する日々の困惑が私にとって欠かす事の出来ない事だからです。また、本来なら経営者として見せてはいけない場面も掲載しています。迷いや不安な状況をこのような形で赤裸々に掲載する事は本当にいいのか、という思いもあります。

世界同時でのパンデミック状況です。おそらく世界史にも残る出来事でしょう。ちょうど100年前の「スペイン風邪」が世界史で語られるように、今回の「新型コロナウイルス」ショックも同様に取り扱われるでしょう。「この時OSGはどうしたのか、私をはじめ社員さん達はどのように思ったのか」を書き残したい気持ちがあります。
また、わずか数年前の出来事ではありますが、今やソーシャルディスタンスという言葉すら忘れ、「色とりどりのマスク」をコロナ前よりは少し多く着用し、むしろファッションの一部になっている感じを私は受けています。

次回、11月20日に掲載します。

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