代表取締役 湯川 剛

当時、OSGグループは「除菌水で助かる命もある」「命を守る、生活を守る」「貢献・告知・元気」「キングギドラ」という言葉を社内で多く使っていました。
私のスケジュールは30分間隔で対応していました。役員ミーティング・事業部責任者ミーティング・各部署のミーティング等、会長職ではなくこの1年間限定の営業本部長としての職務の中でのスケジュールです。とにかく自分が「発信する」事で社員の皆さんや組織に不安を与えない事を目的にしていました。「80%接触減少」の中での対応です。

そんな目まぐるしいスケジュール中、4月14日に私は今年の新入社員向けの講義を午前と午後に分けて行いました。この10年以上、私が新入社員の皆さんと話す事はなく、まして社内勉強会等の機会もありません。会長になってから意識的に避けていました。しかし、今年は違います。理由は、営業本部長に就任した事もありますが、こんな時期だからこそトップ自らの考えを伝えたかったからです。
金融機関から聞いた話によると、他社では新入社員が入社しても一度も出社させていない会社もあるとの事です。段ボール箱にて「社内教材」を送り、「これを読みなさい」という会社もあると聞きました。この行為を安易に批判する事はできません。それぞれの会社や経営者も迷っているわけです。何度もここで伝えていますが、「先が見えない」「コロナへの恐怖」「感染者へのバッシング」等が当時にありました。

私自身も「私の判断が正しい」と自信を持っていたわけではありません。ただ分かっている事は、私が「沈黙」する事は、その何十倍も社内や社員さんに不安が広がるという事でした。だから、やるべき事は「やる」との方針でした。これが「OSGマスク」にも繋がります。実は、私は役員にはオフレコで極秘に「OSGマスク」を準備している事を伝えました。当時は、マスクの品切れや価格の高騰等がありました。そのため、政府が国民にマスクを配布したほどの事です。当時の事をネットで調べました。
「品薄状態が続くマスクについて、『布マスクは洗剤で洗うことで、再利用が可能なことから、急激に拡大しているマスク需要に対応するうえで、極めて有効だ』と述べました。そのうえで、全国すべての世帯を対象に日本郵政のシステムを活用し、1つの住所当たり2枚ずつ、布マスクを配布する方針を明らかにしました。」

私は、中国の知人を頼りに「マスクを入れたい」と東奔西走しました。実際に入荷できるのかどうかもこの時は分かっていませんので、極秘での行動でした。国家もこの難局を総力戦で乗り越えようとしているのなら、OSGも総力戦で挑む。この事がOSG文化なんだ、と言い聞かせていました。

4月24日。
コロナ禍での株主総会が開催されました。
50周年を迎える記念すべき株主総会が緊急事態宣言の中で行われる事等、年の初めには考えられない想定外での開催でした。参加人数はわずか15名でした。総会時間はわずか15分で終了しました。議長である社長が株主総会の終了を告げた後、私に「株主様への挨拶」の時間を作ってくれました。この時、「3つの行動(貢献・告知・元気)」の説明と「やってやろうじゃないか」の映像を見てもらいました。勿論、議長席はアクリル板で仕切ってあります。私はそのアクリル板越しに、株主の皆様へ「コロナに負けない。やるぞ!」と拳を上に突き上げました。株主の皆様もマスク越しでありましたが、立ち上がって同じように拳を突き上げ、「コロナに負けない。やるぞ!」と勝鬨をあげてくれました。

私は「勝鬨で50周年を株主様と祝った」と自分の席に着席し、自分に言い聞かせました。


【追記】
2024年「人生はプラス思考で歩きましょう」を読んでいただき感謝します。
今年は、2019年1月から2020年4月までを掲載しました。特にコロナ発生以降は、毎日の出来事を掲載しています。それほど、以前にも掲載しましたが、2020年の2月以降の新型コロナ感染拡大に対する日々の困惑が、私にとって欠かす事の出来ない事だからです。また、本来なら経営者として見せてはいけない場面も掲載しています。迷いや不安な状況をこのような形で赤裸々に掲載する事は本当にいいのか、という思いもありました。
しかし、ありのままをお伝えする事で「創立50周年」の節目を知ってもらいたかったのです。来年の2025年もおそらく2020年春以降の話になると思います。

昨年の12月20日付の追記には「『人生はプラス思考で歩きましょう』(略『人プラ』)の初期は『10年以上前の出来事』を掲載していましたが、私の年齢等を考慮して、ここ数年は『5年前の出来事』になっています。そうなると今年の出来事は2028年となり、私は81歳になります。よって、来年からは『4年前』『3年前』『2年前』と縮めながら、書けるところまで掲載したいと思います。」と掲載していましたが、中々いかないものです(笑)。

来年も皆様にとって、素晴らしい1年あります事をお祈り申し上げます。

次回、1月1日に掲載します。

ご意見、ご感想は下記まで
support@osg-nandemonet.co.jp