代表取締役 湯川 剛

2020年8月12日。私にとっては、忘れられない出来事です。

OSGグループはこの日から夏休みに入っていました。
8月5日の銀座仁志川役員会の席上で、私は「1か月後の9月13日の銀座本店開店2周年の記念週間で予約も含めて6000本の販売をしましょう」と呼び掛け、9月1日からのチラシの作成やポスティングのスケジュールも決まりました。
その1週間後の8月12日です。本店記念販売の打ち合わせや銀座に志かわオープン予定のオーナー達を集めての「開業前経営会議」がリモートで行われました。

会議が終わった直後に一報が入りました。私はこの時大阪本社にいました。
「前日より高熱を出して早退している銀座本店工房のSさんが新型コロナウイルスのPCR検査で陽性が判明しました」との事です。更に「濃厚接触者として、T管理部長はじめS工房長、S副工房長を含め14名全員が明日から14日間の自宅待機と研修生6名がホテル待機になりました」との連絡が15時に入りました。当時は感染者でなくても、濃厚接触者として隔離される制度でした。私は14日間店を閉める事も覚悟しました。濃厚接触者と言われた人達は、工房にて日頃よりマスクを着用しています。また、会話を多くする機会もありません。しかし、保健所に確認したところ自宅待機が命じられました。工房内以外の社員さん達の自宅待機はありませんでした。私がその日銀座本店にいれば、もう少し状況が分かるのですが、大阪にいるため必要以上の心配と逆にいないための落ち着きが交差していました。前者は否定的になり、後者は客観的に考える自分がいます。
その後、夕方にOSGの社長とOSG案件でオンラインミーティングを行うのですが、珍しく激しい口調で少しトラブったところがありました。これは、どこかで前者の自分がいたのでしょうか。勿論、OSGの社長は銀座に志かわの濃厚接触者の話は知りません。
会議終了後、私はすぐさま自宅待機組と研修生向けのメッセージを作成しました。この時は後者の私がいたのでしょうか。
「~自宅待機を指示された皆さんへ~
日々、業務ご苦労様です。さて本日、中央区保健所より新型コロナウイルス感染の『濃厚接触者の可能性がある』との報告がありました(感染者の名前はプライバシーのため伏せられています)。濃厚接触者の可能性があるとみなされた皆さんは、明日より保健所の指示に従って『14日間の自宅(ホテル)待機』となります。
これは東京都が拡大する感染者を防ぐ対応です。よって大変不自由な思いをされますが、『万が一』の処置にて明日からの14日間は外部との接触を避けて待機して下さい。また、従来通り手洗い、消毒やうがいなどを励行して下さい(二次濃厚接触者を作らない為ための対応です)。その間、地元保健所よりPCR検査の受診を指示された場合は、保健所の指示に従い検査を受けて下さい。またその経緯につきましては、随時会社まで連絡を入れて頂きますようお願いします(毎日2回の連絡は取らせて頂きます)。」
書き終えたのが20時45分でした。
私の部屋にはもう誰もいません。この後、私は「否定的な自分」が私の思考を支配します。14日間銀座本店は閉めなければならないのか。この時、常日頃から自分に言い聞かせている「好事魔多し」とはこれなのか、と強く思いました。
この文章を作成する少し前に、髙橋社長と「工房ゼロ」状態にできない話をしました。翌日には多くの予約のお客様も商品を取りに来られる。最低限このお客様の対応をしなくてはならない。よって、何とかやりくりをしましょう、と2人でのミーティングがありましたが、実際に誰が工房に入るのかはこの時点では分かっていませんでした。

私にとってはコロナ禍にあって、この日から始まる2週間は忘れる事のない出来事です。

さぁ、店はオープン出来るのか。銀座本店開店2周年を迎えてどうなるのか。

次回、3月10日に掲載します。

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