3月の決算説明会がコロナにより中止になり、9月に1年ぶりの決算説明会が開催されました。その説明会に「根上」へ投資したCキャピタルが参加していたので、私は参加者に「責任者と会いたい」と伝えた事は既報の通り(第618回:2025年4月20日掲載)です。
その2か月後にCキャピタルから連絡があり、責任者と面談する事になりました。向こうから食事の誘いがあり、11月9日に大阪帝国ホテルの中華レストランへ向かいました。
図式でいくと、「銀座に志かわ」の代表である私と競合店に多額の投資をした代表I氏との食事会です。それだけに、お互い手の内を見せないまま、表向きはフレンドリーな雰囲気で会話が始まりました。最初はあまり具体的な話はせず、どちらかと言えば、私が質問をしてI氏が答えるようなやり取りでした。I氏は40代半ばでいわゆる六本木ヒルズ族です。外車を数台保有し、好きな女性のタイプは女優の「S.I.」と話は弾みました。この時、私はある程度の情報が得られるような気がしました。
最初は、お互い仕事面において具体的な話を避けていましたが、仕事外の話から徐々に「根上」の社内状況や投資の内容等が少しずつですが見えてきました。私がCキャピタルに対して興味を持つという事は、即ちライバルの内情を把握する以外にありません。勿論、相手側も同じ事でしょう。いかに「銀座に志かわ」の考え方等を知るためにこの日の面談があったと思います。
私は食事の中盤から「『銀座に志かわ』は水にこだわる事を唱っているが、『根上』さんの方もミネラルウォーターを使用している、と店頭に貼ってある店があるが、事実なのか」と南大阪方面の具体的な店舗を示して確認しました。I氏はこれには興味を示していませんでした。「ミネラルウォーターを使用しているのが事実であるならば、1日何リットルのミネラルウォーターを使用しているのか、またそれはどこに置いてあるのか。もし事実でないなら問題が発生しないか」との質問で、初めて「調べてみる」と少し困惑した表情を見せました。I氏の話からは「坂根社長をあまり評価しておらず、むしろ森上会長は素晴らしい」との評価でした。私は、食事前に「今夜はキツネとタヌキの食事会になるだろう」と思って挑んだのですが、ここまで話をしてくれるI氏は、器量が大きいのか、そうでないのか分かりませんが、初めてにしてはしっかり情報収集ができて上出来な食事会でした。彼は「食パン専門店業界は、最後には『根上』と『銀座に志かわ』しか残らない」と話しました。それをプロレス界を例えにして説明をしてくれたのには驚きました。I氏の話によれば「プロレス界で新日本プロレスと全日本プロレスがあって、3番手の国際プロレスは結局は消えてしまった。だから1位、2位の会社は残るが、3位以下はいずれは消え去るのだ」という理論でした。私が「投資」に対する考え方を質問すると「仮に50億を投資する時、5億の利益さえ出ていれば銀行に25億を借り、売上から借入金を返済するので手元には50億の資金はいらない」と説明し、これを「なんとか方式」だと説明してくれました。実は「投資」に対して質問した私ですが、正直あまり興味はなかったので方式名は覚えていませんでした。
最後に「食パン専門店」市場の規模性について話し合いました。彼は「1000億市場」と言い、私の「500億市場」とはかなりかけ離れた読みです。約2時間ほどの会食でした。最初の食事会としては表向きフレンドリーな感じで終わり、「次回も会いましょう」と言って別れました。
この日が私にとって「根上」へのファーストコンタクトでした。
次回、6月1日に掲載します。
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