代表取締役 湯川 剛

10月23日土曜日。午前中に銀座に志かわ営業部のミーティングに参加しました。会議の前に、編集長への黙祷が捧げられ、その後「熱血版」誕生秘話を改めて説明しました。

お昼には、銀座に志かわオーナー会の副会長と理事ら4名と面談が予定されていました。
実は春先から、「食パン専門店」業界全体の売上が低下する傾向にありました。具体的には、ネットニュースなどで「閉店情報」の記事がアップされていたのです。3年前から2年程の間は、テレビ番組やネットで「食パン専門店」の話題が溢れていました。特にコロナ禍で飲食業界が大きな打撃を受けている中で、「食パン専門店」だけが独り勝ちしているような状況でした。おそらく「銀座に志かわ」が1番マスコミに取り上げられていたと思います。
「食パン専門店」ブームの仕掛け人は、間違いなく「銀座に志かわ」であったと思います。5年前からトップリーダーとして存在した「根上」があったからこそ、「食パン専門店」ブームが起こったわけです。
ところが、それが逆回転する状況になりました。理由は明確です。いわゆる「食パン専門店」のオーバーストア現象が起きたためです。2018年9月に「銀座に志かわ」がオープンした当時、全国の「食パン専門店」は約300店でしたが、3年後には約1500店へと膨れ上がりました。実に「5倍」の店舗数です。
以前、「食パン専門店」市場は500億と掲載(第621回:Cキャピタルとの食事会 2025年5月20日掲載)しましたが、現時点で考えると300億程度が妥当と思われます。仮に「食パン専門店」の市場規模が300億円とすると、300店時代は1店舗平均1億円の売上でしたが、1500店にも膨れ上がれば1店舗平均2000万円の売上となります。
コロナ禍で独り勝ちの食パン専門店を飲食業界が黙って見ているはずもありません。「銀座に志かわ」の店舗でさえ、1号店オープンから3年で100店を超え、「100倍」の増加となります。典型的なレッドオーシャン化です。レッドオーシャン化した市場は、淘汰の時代へと進むわけです。何もおかしな現象ではありません。1960年代であればモータリゼーション時代の自動車業界がそうであり、近年ではITブーム然り、介護ビジネス然りです。あらゆる業界がその道を歩んできたように、「食パン専門店」市場もここから「淘汰の時代」へと進み、その上で一定の市場が形成されるわけです。レッドオーシャン化の影響は「銀座仁志川」も例外ではありません。「銀座に志かわ」出店ラッシュの中で、少しずつ「閉店」現象がこのあたりから出てきます。そのような状況の中、加盟店のオーナー会から「原材料・資材」等の値下げ要請の声が上がり始めました。

この日、オーナー会として「値引き要請の要望書」を提出するための会議が開かれました。実質的には「オーナー会有志の会」だったと思います。この時、私はOSGの山田社長にも同席するように伝えました。「要望書を提出したい」というフレーズから、抗議をするイメージが感じられないでもなく、そのような時に会長である私がどのような応対をするのかを見せておくための同席でした。実際には、多少語気の強い発言をする理事もいましたが、概ね紳士的に会議は終わりました。特に印象に残っているのは、副会長からの「担当者任せにしないで、湯川会長が自ら粉メーカーの幹部や業者と交渉してほしい」という要望でした。私自身も非常に腑に落ちました。要望書には加盟店の約6割が名前を連ねていて、全員の声ではないという事も意外でした。加盟店オーナーである経営者の中には「値下げの要望よりも、まずは売る努力を怠っていないか」という意見もあり、連名に加わらなかった加盟店様もいました。本部としては、加盟店様の要望にはできる限り応えたいところです。本部が赤字を計上してまで対応する事は中々難しいものでしたが、今回は思い切ってミックス粉等を赤字覚悟で出荷し、加盟店様の要望も聞き入れ、このレッドオーシャン化を乗り切る事が第一だと思いました。特に、私自身このような飲食業界においては初めての出来事であり、それだけに心のどこかで「このような体験を学びたい」という気持ちもありました。いずれにしても、まずは副会長が言われた「トップ自ら交渉する」という事に挑みました。


次回、2月1日に掲載します。

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