2022年9月13日。「銀座仁志川」は、銀座本店オープン4周年を迎えました。
この記念すべき日に、コンビニ大手のローソンと「銀座に志かわ・本店」とのコラボ商品を発売する事になりました。「銀座に志かわ」の食パンを使ったフレンチトーストです。
「ナチュラルローソン」の店舗で発売されました。この企画は、その年の2月頃から準備を進めていました。ローソンの話によると、「焼きたてパン/ベーカリー」コーナーで従来の価格設定より高価格帯で発売。大変好評の商品と聞き、非常に嬉しく思いました。
このオープン記念日に、もう1つ出来事がありました。
それは、OSGと「嵜本ベーカリー」によって新会社を設立する方向性が決まりました。
「嵜本ベーカリー」は関西では一定のブランド力を構築していました。嵜本社長は、どちらかと言えば商品やブランドを生み出すクリエイタータイプの経営者という印象です。ただ、「食パン専門店」業界のレッドオーシャン化が進んでいる中、「嵜本ベーカリー」がOSGグループに加入する事は、さらに「被害」が大きくなるのではないかという懸念がなかったわけではありません。株式会社「銀座仁志川」の株主であり社長である髙橋社長も、その懸念がありました。結論から言えば、OSG本体の役員は反対意見はないが、積極的な賛成意見もありませんでした。これは、「声なき反対」と受け取るべき事です。
9月30日。私は「根上」の元経営者の1人である坂根社長と食事をする事になりました。ロイヤルホテルで初対面してからちょうど3か月が過ぎました。この時、私は坂根社長に「嵜本ベーカリー」の案件について話しました。大変驚かれたと同時に、「反対」のアドバイスをしてくれました。私はこの30年程、関西の業界情報はほとんど知りません。私の行動範囲は大阪・東京・海外が中心のサイクルであり、それだけに地元企業の情報や事情を詳しく知る機会はほとんどありませんでした。
「嵜本ベーカリー」を運営しているドロキア・オラシイタは、チーズタルト専門店「PABLO(パブロ)」で地元のテレビ局等に登場し、一定のブランドを構築していました。「嵜本3兄弟」としても有名との事ですが、私は全く知りませんでした。
その「嵜本ベーカリー」に対して、同じ大阪からスタートした食パン専門店「根上」の坂根社長の評価は非常に辛口です。ここで詳しい話は控えますが、坂根社長の評価は、会社とともに経営者としても厳しいものでした。その理由についても具体的に説明してくれました。私は、その話を黙って聞いていました。多少なりとも、「根上」も影響を受けた経緯があったとの事です。しかし坂根社長は、「そのためだけで反対意見を言っているのではない」と語っていました。とはいえ、その時点では既にOSGグループ入りを前提に、新会社設立の話は進んでいました。
このような事業譲渡や合併等は、事前の資料や調査に基づいて「判断」します。しかし、最後は経営者としての「決断」は過去の経験や勘みたいなものが要求され、多少曖昧なところがあります。だからこそ、第三者が「止めた方がいい」と言ってくれる情報は非常に貴重なものです。この夜の坂根社長との食事会は、何かしら心に引っ掛かるものがないわけでもありません。それは、「反対」の意見以外に私の心の中にどこかしら「心ここにあらず」の状況がありました。
それは、「アントニオ猪木」の事でした。
次回、7月10日に掲載します。
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